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【箱根駅伝】3冠狙う駒大。不安材料は5区、6区の不在 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 だが、大八木監督があえて「1区に中村以外を使えれば」という話を持ち出したのは、煙幕を張る意味もあるかもしれないが、その心の中には今回、山の5区と6区を安心して任せられる選手が不在という不安要素があるからだ。

 前回は、1年生の時に2区を走った村山謙太(3年)を「差のない3番以内でいければ」と期待して5区に起用した。だが4区の走者が区間19位の走りで順位を2位から10位に落として流れを断ち切ってしまったため、村山には焦りも出てうまく機能しなかった。さらに前回は6区に58分11秒の区間記録を持っていた千葉健太という山下りのスペシャリストがいたが、卒業して不在になった。その2区間の育成は急務だった。

「6区の場合は、うちは前回も区間12位で1時間00分17秒だった。近年は1位が58分台後半で走っても1分強しか差が開かない傾向になっていますね。だからそこは切り抜けられると思うけど、上りの場合は差をつけられたら大きいですからね。だから5区は、1時間20分を切るくらいで走らなければきついと思います」

 もし5区に主力の誰かを持っていくとしても、前回の村山がそうだったように確実な計算はできない。いざというときのことを考えれば、中村を1区以外にとっておき、ガツンと差をつけられるところに起用するという作戦も考えられるのだ。

 さらに5区で日体大の服部翔大(4年)の追撃を凌いだとしても、主要区間で主力同士の競り合いになるはずの東洋大と差がないまま復路に入るようだと、層の厚さを誇るライバルに対して、エースのひとりである窪田忍(4年)だけではなく、もうひとり主力を残しておきたいという欲も生まれてくる。5区の人材を育成できたかどうか次第で、区間配置も変わってくるのだ。

 今年の収穫としては、同学年の中村の活躍に刺激されている村山の充実ぶりが大きい。出雲では3区で駒大の先輩である宇賀地強が09年に作った区間記録を12秒更新する快走を見せ、全日本では4区で、08年にメクボ・モグス(山梨学大)が作った区間記録を8秒更新し、東洋大の主力のひとりである田口雅也(3年)を1分43秒もぶっち切って優勝を確実にする走りをした。本人は「競り合った方がいい走りができる」と言うが、その2レースではひとりになった時でも確実に後続を突き放せる走りを見せていた。村山は2区起用が有力だが、前回のような強い向かい風にならなければ、中村が1区トップで来た場合、そのまま突っ走れる力がある。

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