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パラ競泳・一ノ瀬メイは「差別」の根源を探求。廃絶を願い発信力も強化 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 その彼女が今、ヴィーガンという「生き方」を選び取ることで、環境問題や種差別に対する意識喚起を、波紋が広がるように人から人へと伝えようとしている。

「私は思ったこと、伝えたいことを言ってるだけで、とくにモチベーションがあるわけでもないんです。ただ、こういう発信をすることで、みんなが何かに気づくきっかけになり、いい循環を生めたらいいなと思います」

 世の中には「アスリートは政治的・社会的発言をすべきではない」という風潮や論調があることも、彼女は十分に知っている。それでも、発信や行動への一歩を踏み出す原動力とは、「自分への信頼」だと彼女は言った。

「アスリートだから、というのも、カテゴライズしているということ。カテゴライズは、自分で自分の可能性を狭めることだと思うので、そこにはこだわっていないです。

 私は、自分の思っていることをストレートに出すことにストレスもなかったし、自分がどういう人間かを出さないと、本当の自分を求めている人や本当に自分が必要な相手にも巡り会えないんだなと、すごく思っていて。『私はこういう人ですよ』と旗を立てておくと、そういう人たちが集まってくれる。実際にインスタグラムなどのフォロワーも増えたし、私は、素直に発信するメリットのほうを感じています」

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「つながり」の輪の一環や、「循環」の推進力となることこそが、おそらくは暖かな光を放つ、一ノ瀬の行動原理の核だ。

「今は、自分ができるだけ優しくありたい、多くの方にも優しくあってほしいと思うんです。

 みんな根本的に優しいと思うんですが、お皿に乗っているお肉が、脈を打つ心臓のあった動物だというのが、つながってないと思うんですね。今の世の中って、そういうつながりを感じることが難しくなるのかなって感じていて。なので、そういう点と点をつなげる力が、今はすごく必要で大事になると思っています。

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