国枝慎吾、史上初のパラ3連覇へ。苦境の中でも「自分の力を信じる」

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Ito Shingo/AFLO SPORT

 9月7日(日本時間8日)にリオパラリンピックが開幕する。日本はロンドン大会の2倍となる"金メダル10個"を目標に掲げる。その候補のひとりとして期待されるのが、車いすテニスの国枝慎吾(ユニクロ)だ。リオではシングルス3連覇がかかる。

現在世界ランキング1位で、国枝慎吾のライバルでもあるステファン・ウデ現在世界ランキング1位で、国枝慎吾のライバルでもあるステファン・ウデ グランドスラムの男子世界歴代最多となる40回の優勝を誇る彼をもってしても、4年に一度のパラリンピックという舞台は、「比較にならないくらい特別な場所」と語る。同時に、スコアの数字以上に拮抗した試合展開になることが多いことから、「怖い場所」でもあるという。不屈の闘志でその世界の頂点に君臨してきた国枝だが、今回はこれまでと違う不安を抱えて臨むことになる。その不安とは、肘の調子と、その影響による実戦不足だ。

 国枝は4月に痛みを抱える右肘の内視鏡によるクリーニング手術を受けた。この時、9月のパラリンピックまでの期間を考えると遅いのではないか、という声も周囲から漏れた。だがこれは、ロンドンパラリンピックを控えた4年前も同様の出術をし、見事に完全復活した経験から、リオに間に合うギリギリの段階まで熟考を重ねた上での決断であり、もちろんそのタイミングも計算のうちだった。ところが、想定外のことが起こる。術後の経過が思わしくなく、痛みが再発したのだ。

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