ロンドンパラ金メダリスト秋山里奈が語る「OLとしての今」
ロンドンパラ金メダリスト秋山里奈インタビュー Vol.1
前回インタビューをさせていただいた伊藤数子さん(第1回、第2回、第3回)には、今回、インタビュアーとして、2012年ロンドンパラリンピックに出場し、水泳の全盲クラスで見事金メダルを獲得した、秋山里奈さんにお話をうかがってもらった。24歳で出場したロンドンパラリンピック後、競技からは離れ、社会人として生活しているという秋山さん。まずは現在のお話をうかがった。
引退後の社会人生活を語った秋山里奈さん伊藤 お久しぶりです。ロンドンパラリンピックから2年が経ちました。今も定期的に泳いだりはされてますか?
秋山 いいえ、引退試合以降はまったくプールに入ってません。
伊藤 泳ぎたくならないですか?
秋山 ならないですね。きっと過去の自分より体力も落ちて、感覚も鈍ってるから、絶対ショックを受けると思うので、そういうことを考えると怖くて泳げないです。
伊藤 本格的に泳ぐというより、ちょっとプールに入りたいという気持ちもないですか?
秋山 ないですね。入ったらまたやりたいって思っちゃうかもしれないし、それはちょっと困るので(笑)。
伊藤 なぜですか?
秋山 万が一また火が着いちゃったら困る。今自分がやっている仕事がすごく楽しくて、会社にも慣れてきて、比較的穏やかな生活を手に入れたので。水泳に関わることになったら、それがちょっと乱れてしまうのかなって。本当は、水泳って体にもいいですし、うまく付き合っていけたらいいんですけど、まだ難しいですね。
伊藤 秋山さんはアスリートとして徹底的にやる性格でしたが、今は水泳よりも社会人として燃えるものがあるということですか?
秋山 そうですね。まず、自分の実力が評価にも関わってきますし、それがすぐお給料とかボーナスとかに直結するじゃないですか。水泳はもちろん自分で目標を立ててやって、ベストが出なかったら悔しいし、結果が出なかったら申し訳ないなっていう気持ちになりますけど、だからといって生活にかかわることではないですよね。なので、責任感というのが全然違うのがひとつ。あとは、大きな会社のほんの一部の仕事ですけど、会社が医療関係なので、患者さんのためになるそのほんの一部の担い手になれてるなっていうのを実感することがたまにあるんです。それがうれしいです。
1 / 3