2020年東京パラをチャンスに、日本は変われる
東京パラリンピックに向けて始まったこの連載だが、NPO法人STANDの代表で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の顧問を務める伊藤数子氏に第1回は「東京パラリンピックに向けて。障がい者スポーツの現状」について、第2回は「子どもから学ぶ、東京パラリンピックでの本当の『おもてなし』」と、お話を聞いてきた。第3回は、伊藤さんが理想とする東京パラリンピックについてうかがった。
今年3月のソチパラリンピックでは狩野亮選手が滑降、スーパー大回転で金メダル獲得――今年はソチパラリンピックがありましたが、現地ではどんなことを感じましたか?
伊藤 印象に残っているのはふたつ。まずは「競技」のことですね。ロンドンパラリンピックでも感じていたことなんですが、日本の強化体制がまだまだ。2020年の東京パラリンピックに向けて強化体制を整える必要があると思いました。
――どういった点でそう感じるのでしょう。
伊藤 これからスポーツ庁も出来て変わっていく部分だと思うのですが、今までは国から選手へのバックアップが薄く、パラリンピックが開催されるときだけ、『国を代表して活躍してきてください』と送り出されてる感じがありました。
――その影響はどんなところに出てきていますか?
伊藤 やはり個人や競技団体単位では情報収集力やネットワーク力に限界があります。大きな大会に出場して初めて、「(外国の選手は)あんな道具使ってるんだ」、「あの選手のタイム伸びてる」というのを選手たちが知って、驚いている状況でした。
――国をあげて強化をしてるところとは違う。
伊藤 そうですね。日本もリハビリを観点としていた厚生労働省から文部科学省に移管して、さらにスポーツ庁の話も進んで、そこはだんだんと変わっていく部分だと期待しています。
1 / 3