子どもから学ぶ、東京パラリンピックでの本当の「おもてなし」
「伊藤氏と障がい者スポーツの関わり」について話していただいた第1回に続き、2回目では、2020年東京パラリンピックが開催されたあとの未来を担う子どもたちについて語ってもらった。STANDの活動の中で取り組んでいるひとつ、キッズプロジェクトを通して子どもたちとふれあい、そこで見つけた東京パラリンピック成功へのヒント、さらに2020年以降の日本につながることを聞いた。
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車椅子バスケットボールで使用される車椅子も競技用に開発されている――キッズプロジェクトではどんなことをしてるんですか?
伊藤 大体月に1回のペースで行なっていて、スキー場に行ったり、海に行ったりしています。子どもたちは、身体障害の子、知的障害の子、発達障害の子、障害のない子、みんな関係なく遊んでいます。
――自分と違うということに気がついても、子どもたちにとってはなんの問題もないんでしょうね。
伊藤 そうです。テニス教室のときに名簿を見ながら、「この子は何歳でこの障害で......」と確認をしていたんですが、気がついたらもう見分けがつかないんですよ。みんな楽しそうだから。このときに本気で思いました。こういう場面さえたくさん作っておけば、この子どもたちが10年後大人になったときに、素晴らしい社会を作るんだろうなって。
――子どもの純粋に楽しむ気持ちってすごいですね。
伊藤 それを目の当たりにしたことがあります。以前、車椅子の男の子が「空手を習いたい」と言って、お父さんが近所の道場を3つほどまわったけれど、「車椅子の子を教えたことがないから」と断られてしまったという話を聞いて。そこで空手体験会を開いたことがあるんです。そのとき空手の師範は「どんな子でも連れてきなさい」と言ってくれて、その車椅子の男の子も参加しました。
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