「ヒジの状態は10%」でも脇本雄太がGⅠ全日本選抜競輪を連覇 決め手は2日前のレースと寺崎浩平の覚悟 (3ページ目)
【左ヒジの大ケガをカバーする絆の栄冠】
「ケガで状態が万全じゃないなかで、仲間に助けられました」
バンク内の表彰式で、そして優勝会見で、脇本は仲間への感謝の言葉を繰り返した。脇本は昨年10月に練習中の事故で左ヒジの関節脱臼と複雑骨折という大ケガを負い、復帰直後の昨年末のKEIRINグランプリでは9着。今月もドクターストップによる欠場を経て、今なお「ヒジの状態は10%にも満たない」という。
それでも圧巻の走りを披露できたのは何度も連係を繰り返している近畿勢との絆があったからだ。昨年8月の『オールスター競輪』では今回とは逆の形で、脇本が先頭を走り寺崎が優勝を果たしている。デッドヒートを繰り広げた古性も「個人的には久々にいい感覚だった。前のふたり(寺崎と脇本)が強すぎた」と覚悟の走りを讃えた。
これで脇本は昨年に続いて全日本選抜競輪を連覇し、2026年末のKEIRINグランプリ出場権も一番乗りで確定させた。
大地震から念願の復活を果たした競輪場で、大ケガから復活の狼煙をあげた脇本の走りは、14年ぶりの大舞台を待ちわびたファンに勇気と希望を与えたことだろう。
仲間への感謝を口にする脇本 photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る
【近畿勢でGⅠ独占を狙う】
「ヒジの完治はまだまだ先。3月のウィナーズカップ(GⅡ)では仕上げたい」
喜びも束の間、次の目標へ視線を定めた脇本。これも、自分ひとりで戦っているわけではないからこその言葉だ。チャンピオンが「近畿は強い。もっと層を厚くしていきたい」と勝って兜の緒を締めると、古性も「すべてのタイトルを近畿勢で獲りたい。そのためにいいスタートが切れたと思うし、次は自分が獲るつもりで」と意気込んだ。
近畿地区は今回決勝に駒を進めた4選手だけでなく、S級S班の南修二(大阪・88期)らまだまだ実力ある選手がひしめき合う。互いに切磋琢磨して実力を高め合い、大舞台でレースを掌握する姿を見せられると"GⅠ独占"も現実味のある言葉に思えてくる。
敗れた郡司が「決勝はラインで乗ってなんぼだと思う」と同地区で勝ち上がることの意義に言及し、GⅠ常連の実力者・菅田壱道(宮城・91期)も「今回は北日本がひとりも決勝に乗れなかった」と悔しさを表したように、競輪は個人の戦いであると同時に地区の威信をかけた戦いでもある。
前代未聞のタイトル独占を狙う近畿と、目の色を変えて襲いに来る他地区との戦いからは目が離せない。今年のGⅠはあと5回。戦いは、まだ始まったばかりだ。
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