江村美咲ら日本フェンシングが2025年もメダルラッシュ 東京五輪金メダリストが語る競技の現状と普及面での課題 (4ページ目)
【興味を持った子どもたちをいかに受け入れるか】
――子どもたちの間でも、フェンシングの人気が高まっていると聞きます。
「そうですね。体験イベントを実施すると、多くの親子連れの方々にお越しいただけるようになりました。ですが、そこで興味を持った子どもたちを受け入れる体制については、多くの課題が残されているように感じています。指導者の人数や、スペースが不足していて、断らざるを得ないクラブもあると耳にします。
うまくPRできていなくて、フェンシングに興味のある子どもたちに十分な情報が行き届いていない状況も少なからず見受けられます。協会と地方のクラブが緻密に連携を取りながら、熱が冷めないうちに、多くの方々にフェンシングに触れていただく環境を整えていく必要があると思います」
――今後の日本フェンシング界に期待することや、注目ポイントを聞かせてください。
「現役選手のみなさんが結果を出し続けることを願っていますが、3年後に向けて注目していただきたいのは、パリ五輪ではメダル獲得に至らなかった女子エペと、男子サーブルの2種目です。思うような結果を残せなかった苦い経験を経て、3年間でどのように競争力を上げていくのか、要注目です。
最近は多くの方にフェンシングに興味を持っていただけるようになりましたが、試合に関する報道があった時には、『どの選手が、何の種目で活躍したのか』というところまで注目していただけたらうれしいですね」
【プロフィール】
宇山賢(うやま•さとる)
1991年12月10日生まれ、香川県出身。元フェンシング選手。2021年の東京五輪に出場し、男子エペ団体において日本フェンシング史上初の金メダルを獲得。同年10月に現役を引退。2022年4月に株式会社Es.relier(エスレリエール)を設立。また、筑波大学大学院の人間総合科学学術院人間総合科学研究群 スポーツウエルネス学学位プログラム(博士前期課程)に在学中。スマートフェンシング協会理事。スポーツキャリアサポートコンソーシアム•アスリートキャリアコーディネーター認定者。
【写真】フェンシング・宮脇花綸「インタビュー写真館」
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