江村美咲ら日本フェンシングが2025年もメダルラッシュ 東京五輪金メダリストが語る競技の現状と普及面での課題 (2ページ目)
【期待の若手も続々】
――女子サーブル団体は、引退を発表した2選手に代わり、日本大の菊地心和(ここな)選手(4年)と金子優衣奈(ゆいな)選手(3年)が団体メンバーに加わりました。世代交代は順調に進んでいますか?
「金子選手は以前から団体の経験もあり、パリ五輪の選考シーズンでも出場枠獲得に貢献しています。一方の菊地選手は今回が初めてのメンバー起用となりました。2人ともカデ、ジュニアのカテゴリーから国際大会での経験を積んできており、今後の女子サーブルを背負っていくタレントとして期待されています。大学生という若い段階で今回のような成功体験を積めることは、五輪という最大目標がより現実的になるきっかけとなると思うので、彼女らの今後にも注目していきたいです。」
――東京五輪で、宇山さんもメンバーのひとりとして日本史上初の金メダルを手にした男子エペ団体も、W杯で金メダルを獲得しました。
「全体的にパフォーマンスは安定していましたね。チームを支える加納虹輝選手、山田優選手、パリ五輪を経て1段階ステージを上げた古俣聖(あきら)選手と、この3人が崩れなければどの大会でにベスト4を狙えるレベルには、すでに到達しています。そして、今回は、浅海聖哉選手が初めて団体メンバーに起用された。私も関わっている日本フェンシング協会の学校訪問など、普及の現場でも積極的に活動してくれています。
22歳の浅海選手は、2018年に世界カデ選手権で個人3位になるなど、有望選手として成長してきました。昨年11月のW杯(カナダ)で個人ベスト8に入賞したことが今回の起用につながったと思いますが、初のW杯にもかかわらず非常に落ち着いたプレーを見せてくれましたね。チャンスの場面では積極的にチャレンジし、難しければ時間を使って次にバトンを渡す、という団体戦のお手本となるプレーでした。
金メダルという結果にどれだけ実感があるかはわかりませんが、今後の試合でも存在感をアピールし、彼の戦い方を世界に見せつけてほしいですね。学校訪問などで新規に獲得したファンとのつながりも大切にし、人間的にも成長を続けてほしいです」
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