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江村美咲ら日本フェンシングが2025年もメダルラッシュ 東京五輪金メダリストが語る競技の現状と普及面での課題

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi

 昨夏のパリ五輪でメダルラッシュに沸いた日本フェンシング界だが、今年に入ってもその勢いをさらに加速させている。

 1月12日(現地時間。以下同)のフェンシング女子サーブル・グランプリ大会(チュニジア)で、江村美咲が初の金メダルを獲得。その江村を含む女子サーブル団体(1月27日・ブルガリア)では、男女通じて史上初のワールドカップ(W杯)制覇を成し遂げた。

 男子も、2月9日に行なわれたW杯エペ団体(ドイツ)で金メダルを獲得するなど、3年後のロサンゼルス五輪に向けて順調に実績を重ねている。

 そんな日本フェンシング界の現状や、パリ五輪以降に見えた課題などについて、東京五輪の男子エペ団体で金メダルを獲得した宇山賢氏に語ってもらった。

パリ五輪後も活躍を続ける、女子サーブルの江村美咲 photo by AFLOパリ五輪後も活躍を続ける、女子サーブルの江村美咲 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る

【メディア出演も多い江村だが、強さは変わらず】

――パリ五輪では計5個(団体4、個人1)のメダルを獲得し、総勢16名のメダリストが誕生しました。選手の姿をメディアで見る機会も増えましたね。

「確かに最近は、『年末年始の特番やニュースでフェンシング選手を見た』と言ってくださる方も増えましたね。僕が参加した体験会や学校訪問でも多くの方に集まっていただけますし、関心を持っていただけている現状はとてもうれしいです。

 ただ、選手たちの知名度が高まっている一方で、フェンシングにはサーブル、フルーレ、エペの3種目があることや、それぞれのルールの違い、競技の魅力については、まだまだ伝えられていない部分があると思います。競技の見どころなどをショート動画で伝えていくとか、競技に携わる人々がアイディアを出し合いながら、具体的な方法を考えていかないといけませんね」

――課題はあるにせよ、1月のフェンシング女子サーブル・グランプリ大会では江村選手が個人種目で優勝。同月のW杯でも女子サーブルチームが団体種目で金メダルを獲得するなど、2025年は早くも結果を残していますね。

「いずれの優勝も日本勢としては初の快挙ですし、個人的には『パリ五輪のいい流れを引き継げている』と感じています。特に、テレビやイベントなどさまざまな仕事をこなしながら、個人と団体戦で強さを見せつけた江村選手の活躍は本当にすばらしい。注目度の高いなかでしっかり結果を残せたことは、大いに評価できるのではないかと思います」

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【写真】フェンシング・宮脇花綸「インタビュー写真館」

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