佐竹雅昭が振り返る運命の出会い 公園で声をかけてきた極真の男と「ノリが軽い」石井館長 (3ページ目)
【高校生活は授業の間も稽古漬け】
その時は、男性の名前を聞くことはなかった。しかし後年、その男性からSNSを通じて「佐竹さんは、あの時に公園で出会った少年ですよね?」というメッセージが届き、やりとりをしたという。
「そんな運命の出会いと親の許しもあって、中学を卒業してすぐに極真会館に入門しようと行動を起こしました。当時、大阪の福島区に極真の本部直轄の道場ができて、すぐに見学に行ったんです。道場に入って驚きましたよ。先生はごっつい体しているし、道場生たちの肉体もすごくて"野獣"の集まりに見えたんです。
そんな猛者たちが、狭い道場に50人ぐらいいて、腕立て伏せやスクワットを延々と繰り返していた。ただ、突きや蹴りの稽古もやっていたんですけど、狭いから組手はできなくて。だから『これなら、今まで通りひとりで稽古できるな』と思って、それ以降は道場に行きませんでした」
極真会館への入門を断念し、肉体強化のために高校の近くにあったトレーニングセンターに通い始めた。
「日曜日も含めて、昼・晩の弁当を持って毎日通いました。そのセンターには空手やキックボクシングなど、いろんな格闘技をやっている人がいて。その練習を見ながら体づくりを学んでいって、ベンチプレスで140キロぐらいを上げるまでになりました」
一方で学校でも、独自の稽古をやっていたという。
「休み時間はすべて稽古にあてました。ノルマも決めて、1時間目が終わったあとの休み時間は腕立て伏せ50回。2時間目は腹筋50回。3時間目は逆立ち3分、といったように。4時間目が終わった後の昼休みは、弁当を食べた後に懸垂をして、蹴りを100本やったあとに、友だちと野球やサッカーをして遊びました。そんな変なことをやり続けるヤツはいませんから、学校中で有名になましたよ(笑)」
そんな稽古に没頭していたある日、ひとりの友達が一枚のチラシを持ってきた。
「友達が持ってきたのは、空手道場の入会募集でした。そのチラシには『DO ENJOY空手』と書いてありました。僕は『何だこれは! 空手をナメとんのか!』と呆れてチラシをあらためて見ると、『正道会館』と書いてあった。
当時は知らなくて『正道会館? どこの寸止め空手だ』と思いましたけど、チラシには『見学者にはミットをプレゼントします』という文言があったんですよ。それを見て、『ミットだけもらいに行くか?』と、友達5、6人を誘って見学に行きました」
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