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パリ五輪での自転車・太田りゆと陸上・田中佑美の奇跡的な偶然の一致 同日レースで初戦2組目5着、敗者復活戦の妙 (4ページ目)

  • text by Sportiva

――太田選手はケイリンとスプリントに出場し、まずはケイリンからでした。田中選手は100mハードルの予選。それぞれどんな気持ちを持って臨みましたか。前夜の思い出などあれば教えてください。

太田 前夜は特に緊張することもなく、その日の心境をノートに書いたりして、結構冷静でした。夜中に何回か目が覚めましたけど、「そりゃあ明日はオリンピックなんだし、ドキドキして眠れなくて当たり前だよな。目をつむっておこう」と思っていました。嫌な緊張感はなかったですね。

田中 私はすやすや寝てましたね(笑)。「明日オリンピックだ!」という感じではなくて、「明日はこれとこれをするぞ。おやすみ」という感じでした。周りの目や、失敗したらどうしようということはほとんど思わずに、ひたすら自分のレースで何をするかに集中していました。

――そして田中選手は100mハードルの予選2組目で5着(12.90)となり、敗者復活戦に回り、同じく太田選手もケイリン1回戦2組目で5着となり敗者復活戦に回りました。いったんは敗れた時の気持ちは、どんなものだったのでしょうか。

太田 動きはよかったですし、脚の感じもよかったので、敗者復活戦では絶対に大丈夫と思ってスタートラインにつきました。今まで日本代表としてレースをしてきたなかで、一番覚悟が決まっていたし、自信もありました。落ち込むようなことはなく、なんなら翌日の準決勝、決勝のことを考えたら、敗者復活戦を走れたほうがラッキーくらいに思っていました。チーム内では「もう一回遊べるドン」(ゲーム『太鼓の達人』のセリフ)とか言っていました(笑)。

田中 予選を走る前は、敗者復活戦に回るのは嫌だったんですよ。予選で落ちたら(調子が)よくないということなので、「もう1本打ちのめされにいくの?」と。でも実際は私も悪くなかったんですよね。自分の中でオリンピックのテーマが「攻め続けること」だったので、そこはいったんクリアしたし、体の状態も悪くない、だったらもう1回チャンスがあることはいいことだよねというふうに考えて、やることを明確にした状態で敗者復活戦に臨みました。

――お互いに敗者復活戦をとても前向きに捉えていたんですね。

対談 中編に続く>>

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