「かわいくてムキムキ」を目指す元グラドル日野未来の武器は43cmのふくらはぎと吸収力 実力&人気でオールスターにも出場 (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro

運動経験がない状態からガールズケイリンの選手を目指した photo by Yasuda Kenji運動経験がない状態からガールズケイリンの選手を目指した photo by Yasuda Kenjiこの記事に関連する写真を見る

【プロ入り後の苦闘】

 競輪学校では順調に力を伸ばした。学校内の記録会には基準タイムがあり、そのなかでも最高レベルのタイムをクリアすると『ゴールデンキャップ』という金色の帽子が授与されるが、ガールズケイリンでは歴代4人目となるその栄誉も手にした。ここでの成長の要因は、日野の持つ周りから学ぶ力、吸収力だった。

「柳原真緒さん、佐藤水菜さんなど、スポーツ経験がめちゃめちゃすごい人が同期にいました。体つきも走り方も自分とはまったく違いましたし、考え方がすでにできあがっていたことにも驚きましたね。自分より年下でしたが、スポーツをやっている人のメンタルってこんな感じなんだ、ということを知り、それが緊張感になって、集中力を高めることができました。そしてずっと周りの選手を見て、いいところを吸収しようとしたのがうまくいきました」

 しかし、簡単には勝てないのがプロの世界。2018年7のプロデビュー後は初勝利こそ早かったものの、苦戦が続いた。

「今思えば、先行したいって気持ちが強すぎたんだと思います。でもそれで、3着以内に入らなければ、意味がないことに気づきました。自分のやりたいレースをしただけでは公営競技の選手として失格なので、それが恥ずかしかったです」

 下位に沈むレースが続いたこともある。グラビアアイドルからの転身というキャリアから、色物扱いするコメントもネット上には見られたが、「へこたれる暇もないほど必死すぎて、そうしたものも目に入らなかった」と、ひたすら脚力を鍛え続けた。これも日野の集中力だろう。

 出稽古として日本各地に足を運び、尾崎睦(神奈川・108期)、児玉碧衣(福岡・108期)といった先輩選手にもアドバイスを仰いだ。競輪では代謝制度という年間を通じて下位の成績の者が自動的に引退に追い込まれる仕組みがある。そこから逃れるために必死だった。

 同時に高木真備(2022年に引退)、児玉などガールズグランプリを制した選手の動画を徹底的に見て研究し、レース展開のバリエーションも増やしていった。周りの選手は何を考えながら走っているか、メンタルの探り合いまでシミュレーションするようになり、それにつれてレース内容も改善され、勝利につながるようになった。ここでも日野の学ぶ力が発揮されたのである。

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