ガールズケイリン若手のホープは「一番ギャップのある選手」尾方真生は柔和な笑顔に隠された圧倒的な実力を持つ (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro

【先行を選んだ理由】

 安定して高い勝率を残している尾方だが、プロとしてやっていける自信を持てない時期があったと振り返る。

「そんな時、同じ久留米競輪場で練習している先輩の児玉碧衣さんに『若いんだからもっと思い切ったレースをしていくほうがいい。それが先につながるし、上で戦うことにもつながる』って言われたんです。たしかにそうだなと思い、そこから先行という前に出るスタイルに挑戦していくようにしました」

 集団の先頭を走り、主導権を握るそのスタイルは自分でペースを管理できるメリットがあるが、風の抵抗を真正面から受ける局面が増えるため、体力、筋力の消耗が激しい。だが、尾方はそこで自分の持ち味が出せると考えた。

「よく周りの選手に、私に先に仕掛けられると嫌だって言われます。それは私が先行しても、後半にスピードが落ちずに、伸びるからだと思うんです。まだ大きなレースで勝てていないので、今は正直、これでいいのかという迷いはあります。ただ今の形が一番、勝ちパターンにもっていきやすいですし、心のどこかに先行へのこだわりは持ち続けています」

 すでにトップクラスの実力を見せているが、まだ進化の過程にあり、発展途上だという自覚がある。ホームバンクを同じくする児玉碧衣(福岡/108期)や小林優香(福岡/106期)の偉大さを日常的に感じているだけでなく、ガールズケイリンで長くトップを戦う石井寛子(東京/104期)、小林莉子(東京/102期)について「2秒先に何が起きるかわかっているような動き方をするんです。気がつくと、"なんでそこにいるの"っていうところにいつの間にかいる」と力の差を口にし、「レースの運び方ももっと学びたい」と話す。

「本当に自分はまだまだなんですよ」

 尾方はこう繰り返す。しかしそれは伸びしろを残しているということに他ならない。デビューからまだ4年目。本領発揮はこれからだろう。

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