ガールズケイリン若手のホープは「一番ギャップのある選手」尾方真生は柔和な笑顔に隠された圧倒的な実力を持つ (2ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro


ディズニーのキャラクターが大好きという尾方 photo by Gunki Hiroshiディズニーのキャラクターが大好きという尾方 photo by Gunki Hiroshiこの記事に関連する写真を見る

【生まれつき、負けず嫌い】

 熊本県球磨郡多良木町生まれ。「いつも外で遊んでいた」と本人は振り返り、活発な幼少時代を過ごした。同時に早くから高い身体能力を発揮し、小学生の時にエアロビック競技で全国優勝。中学校から始めた陸上競技では短距離を専門とし、九州学院高に進んでからはインターハイにも出場をしている。

「エアロビック競技は人見知りを心配した家族が連れて行ってくれて始めたんです。かけっこも保育園の時から速くて常に1番でした。ただ運動会で一度、転んだことがあって、そこで走るのをやめてしまったことがありました。『もう勝てない。ならば走らない』って思ったんですね。そのくらい負けることが嫌いだったんです」

 そんな尾方だったが、陸上競技を突き詰めるのではなく、管理栄養士になるために大学進学の道を選ぶ。そして高校卒業を控えた高校3年生の頃、初めて競技用の自転車に乗った。下宿先が元競輪選手の家だったこともあり、競輪場に連れて行かれたことがきっかけだった。

「最初は自分からやりたいと思ったわけではありません。ただ自転車が楽しいという感覚は、初めからありました。大学に行く前や休日に練習しているうちに、周りから早くガールズケイリン選手になることを勧められるようになったんです。最初は大学卒業後に養成所に行くつもりだったのですが、『ここからの3年間がもったいない』と周りに言われて、大学1年目で受験しました。最初は休学していたんですが、『きっともう戻ってこないでしょ』って言われて、結局、大学は辞めました。こうして私は結構、周りに流されて人生を決めているんです(笑)」

 だが、その身体能力の高さを自転車競技でも遺憾なく発揮する。養成所内での競走訓練で勝利を積み重ね、卒業記念レースでも優勝。そしてプロデビュー後の快進撃は冒頭に記した通りだ。今はガールズケイリンに進んだ決断に後悔はない。

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