「日本人は強い」ことを証明するために。アームレスリング世界王者が振り返る無差別級への挑戦や倒れるほどの減量 (3ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

アームレスリング界のこれからと夢

――アームレスリングが強い国は?

山田 今は難しい情勢になっていますが、ロシア、ウクライナ、その周辺国も強いですね。

――大会の優勝賞金はどのくらいなんですか?

山田 大会の規模にもよりますけど10~20万円くらいです。収入はスポンサーさんからいただくものになりますが......アームレスリングはそんなにスポンサーさんがつかないですね。

小寺 ジムのトレーナーなどをやりながら、という方が多いですね。僕は、地元の和歌山で瓦屋の職人をやりながら、仕事終わりや休日にトレーニングをしていました。

――世界王者のふたりから見て、日本アームレスリング界の未来をどのように考えていますか?

山田 今、日本には団体が3つあるんですが、それを統一しよう、アームレスリングをメジャーにしようという気持ちでひとつにならないと厳しい。ただ、この世界に20数年いる私の感覚だと、今のままでは難しいと思います。

――世界の団体は?

山田 主にアマチュアが2団体で、別にプロの団体があります。アマチュアとプロとでは選手のレベルも違いますが、プロの無差別級になると、もう異常なレベルです。モンスター級の選手が揃っていて、本当に一瞬で勝負が決まります。

 会場の雰囲気や演出も違いますね。特に、2019年12月に参加した世界最高峰の「ズロティトゥール」という大会にはまた行きたいです。海外のプロの大会は会場の盛り上がりもすごいですから、ぜひ一度、日本のみなさんにも見てもらいたいです。

――おふたりにとって、アームレスリングとは?

山田 女子で世界と戦えるのは、まだ私だけかなって思っているので、「日本代表として戦える場所」というか、「日本人は強いんだ」ということを私が証明できるところ。「日本人をナメんな!」みたいな感じで戦うのはすごく楽しいです。

小寺 日本人は最初から相手にされない感じですからね。僕も「ナメるな」という気持ちは強いです。

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