「日本人は強い」ことを証明するために。アームレスリング世界王者が振り返る無差別級への挑戦や倒れるほどの減量 (2ページ目)
過酷な減量とリカバリー
――階級もある競技ですが、減量はどのくらいするのでしょうか?
山田 私はナチュラルウエイトですね。
小寺 僕は、えげつないほどやります。一度、80kgまで体重を増やして、そこから57kgまで減らしたこともありますよ。
山田 計量当日、同じ部屋にいた時に彼がお腹を壊して、倒れ込んで寝込んじゃったこともありますね。
小寺 その時はひどい脱水症状で、12時間ほど動けなくなりました。
――アームレスリングは前日計量ですか?
小寺 計量の翌日が左腕の試合で、2日後が右腕の試合です。だから僕は、左腕の試合は捨てるつもりで、最初から倒れる覚悟で計量に臨みました。2日後の右腕の試合に向けて、計量後のリカバリーでどれだけ体を大きくするかがポイントでした。同じくらいの体重だと勝つのが難しいですから。計量を56.5kgクリアして、結局は70.5kgまで戻りましたね。
――アームレスリングは一瞬の勝負だと思いますが、長くなる試合もありますか?
山田 私は記憶にないですね。だいたい一瞬で終わります。
小寺 僕は世界大会で1分40秒間戦ったことがあります。お互い、倒されそうになったら押し戻す、といったことを何回も繰り返して、最終的に自分が勝ちました。勝った瞬間はめちゃめちゃ嬉しかったんですけど、すぐに次の試合のこと考えないといけませんでした。
――1分40秒間となると、最後のほうはパワーが残っているんですか?
小寺 他の選手たちの長い試合を見ていてもそうですが、だいたいは開始から40秒以内で力がなくなります。そこからふたりとも一気に力がなくなって、残りの時間はほとんど力が出なくなる。おそらく、そのへんの中学生でも勝てるくらいでしょうね。あとは根性の戦いになります。
――トーナメントの序盤で長い時間戦うと、次の試合が厳しくなりますよね。
小寺 そうなんです。だから優勝しようと思ったら圧倒的な力の差で短い時間で勝っていくか、クジ運に恵まれてラクな相手を倒して上がっていくか、どちらかになると思います。力が拮抗した試合が序盤にあると難しいですね。
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