「大記録の女神」佐久間みなみアナ。目指すスポーツキャスター像は「知らないということも武器になる」 (2ページ目)
──昨今は暗いニュースばかりなので、スポーツの持つ明るさや独特の熱さみたいなものが伝わるといいですよね。
佐久間 スポーツのニュースはポジティブなものが多いので、安心して楽しんでもらえたらと思っています。もちろん勝負事ですし、敗退もあり悔しい思いをすることもありますが、それもまたドラマの一面だと思います。現場に行くと選手や関係者、ファンの方が同じ方向を見て盛り上がっています。そういうことはなかなかスポーツの現場ではないと経験できないですし、それがやっぱり"スポーツの魅力"だと思います。
──最初の現場取材は、4月10日の佐々木朗希投手(ロッテ)の完全試合だったそうですね。
佐久間 正直に言うと、本当に申し訳ないぐらい、何が起こっているのかわからなくて......。
──ハハハ。28年ぶりの偉業でした。
佐久間 今年の佐々木朗希投手はすごいと番組として狙いをつけていたのですが、まさか完全試合までとは思っていなくて....試合が進むにつれ、となりで解説をしていただいた藤川球児さんの口数がだんだん減っていって......。「えっ、完全試合って!?」みたいな感じで目の前でとんでもないことが起こってしまって、最初は何が何だかわかりませんでした。あらためてすごさを理解して本当に驚きました。
──でもそういう場面にいきなり遭遇できたのは、すばらしいことだと思います。
佐久間 長年番組に携わっていたスタッフからは「1回目で見られるなんて、どんだけ"持って"いるんだ!」とうらやましがられました(笑)。藤川さんからは「メインキャスターになるにあたって、ふさわしい日でしたね」と言っていただいて、もう本当にありがとうございますという感じでした。
──いきなりスポーツの醍醐味を体感しましたね。
佐久間 そういう奇跡や感動は日常生活では味わえないですし、非日常へつれていってくれるのも、スポーツならではだと思っています。
──非日常と言えば5月9日のエンゼルスタジアムでの大谷翔平選手のプロ初となる満塁本塁打も現地で目撃したんですよね。すごくいい雰囲気だったんじゃないですか。
佐久間 あれもまさかの出来事でした(笑)。実は到着したその日にスタジアムに向かって、時差ボケでもう思考が追いつかなくて。最初は「何が起きたの?」という感じだったのですが、初の満塁ホームランと聞いて、すごく興奮しました。
──翌日は大谷選手の同僚であるリード・デトマーズ投手のノーヒットノーランも目の当たりにしたそうですね。
佐久間 本当にまさかの連続ですよね! これまで試合をあまり生で観戦していなかったので、現場で集中して試合を追うことがこれほど魅力的でおもしろいものだと、気づかせてもらえました。
──佐々木投手にアメリカでの経験、よりスポーツに興味を持つことのできる出来事でしたね。
佐久間 本当ですね。ですから今後は取材を通し、選手の方々を追い、より知っていきたいと思いました。追ってきたからこそわかることや選手の方々が話してくれたことを視聴者の方にお伝えできることが理想ですね。自分が興味を持って追っていく選手が、はたしてどうなっていくのか。たとえば、ずっと取材をしてきた選手が金メダルを手にしたとき、自分はどんな気持ちになるのか。まだ私はその風景を知らないので、ぜひ体験したいと思います。
──心臓バクバクの手に汗を握る状況が楽しめそうですね。
佐久間 そうですね。実はスポーツのハラハラ感は苦手だったんです (笑)。今はもちろんその魅力が勝っていますが、ずっと追うからこそ直視できないことも出てくるのかなと思ったりもします。でもそこはぜひ味わってみたいですね。
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