大食いはスポーツかエンタメか。MAX鈴木が語るアスリートの自負「認められるまであがき続けたい」 (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 立松尚積●撮影 photo by Tatematsu Naozumi

エンタメとスポーツ、大食いの二面性

ーーYouTubeと競技の違いを教えてください。

MAX鈴木 簡単に言うと、YouTubeはエンターテイメントですよね。再生回数を取るためには、見ている方が不快にならないように、おいしく、きれいに、楽しく食べることが大事なんです。競技は真逆。もうグチャグチャでもいいから、制限時間内にどれだけスコアを出せるかというものです。シンプルに数字がすべてなんです。

「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」は10分間の早食いですが、エンタメをやっていたら絶対に勝てません。もし口からこぼれたパンのかけらを集めながら食べていたら、お客さんから「そんな余裕あったら、次のパンを早く入れろよ」って言われますよ。

 でも日本は逆じゃないですか。米粒を残している人がいたら、「この人、食べ方が汚い」と批判される。僕はスポーツとしての大食いの世界で育って、今、YouTubeなどのエンタメも経験してわかったのは、僕の居場所はスポーツのほうなんだってことです。いろいろと迷った時期もありましたが、今は完全に振りきりましたね。

この記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見るーーどんな迷いや葛藤があったのですか?

MAX鈴木 YouTubeでおいしそうに食べていたら、それこそテレビ出演だったり、企業案件をもらえたりします。僕はそれもやりますが、どうしても譲れない部分があるんです。俺はYouTuberなのか、スポーツ選手なのか。大会で戦っているライバルたちに、この動画を見せられるかな......とか、一時期すごく悩みましたし、数々の失敗もしました。

 たとえば、テレビのバラエティ番組に呼んでもらっているのに、「俺はスポーツ選手なんだから」とほとんどしゃべらず、本気で大食いをしてしまったり......。今考えると、恥ずかしいですよ。その時と場所に合わせてやればいいだけなんですけど、それができない自分がいました。YouTubeもお金を稼ぐ手段だからと自分の中で消化することができた時に、やっと迷いがなくなりました。

 結局、文化の戦いなんです。スピードや量を重視するスポーツとしての大食いはアメリカの文化なんです。対して、日本は食べ方を重視する。僕はこの日本の文化を最終的に変えたい。相手は文化なので、10年、20年の長いスパンの戦いになると思いますが、ブレずに頑張りたいです。

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