カーリングミックスダブルス世界選手権で日本代表が示した可能性。それを今後、どう生かしていくべきか (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by AP/AFLO

 大会を終えて、谷田は「強豪国と対等に戦えたのは自信になりました」と振り返った。世界の強豪、とりわけミックスダブルスで結果を出している欧州のチームと、変化の大きいアリーナのアイスで戦えたことは、大きな収穫となったに違いない。

 谷田は続けて、「日本はミックスダブルスでのメダル獲得やオリンピック出場はできていませんが、それに向けて今後、どんな戦いをすればいいのか、お見せできたのかなと思います」とコメント。最後はスウェーデンに力負けしてしまったものの、その事実も含めて、世界との距離感がうかがえた。

 日本カーリング界としては、彼らが今回持ち帰ってくる"距離感"をベースに、選手、協会、各選手の所属チームが現状を共有し、理解、協力しながら、世界で戦えるミックスダブルスのチームを今後も日本代表として送り続ける必要がある。そのためには、専任コーチや試合機会の確保、強化合宿の開催など、ひとつずつ精査、議論し、最善の決定を下していかなければならない。

 今季はコロナ禍にあって、JCA(日本カーリング協会)は3月に札幌で開催予定だった全農日本ミックスダブルスカーリング選手権の開催を中止しているため、来季の強化指定推薦ペアや日本選手権出場枠などは、現状未定だ。おそらく、これまでの実績や今月に開催予定の第39回全農日本カーリング選手権大会の成績を鑑みて、来季の強化スケジュールとともにJCAから発表があるだろうが、すでにそこには日本カーリング界としての何らかの方向性が示されていることを望みたい。

 今大会は、多くの試合がテレビ中継やネット配信された。おかげで、盤面の優劣の入れ替わりが激しいミックスダブルス特有のスリリングなゲームに、新たに魅せられたファンも多かったようだ。

 また、1エンドで各チーム5投の8エンドゲームということもあって、その試合のコンパクトさが見る側に受け入れやすかった側面もあるのだろう。いろんな意味でポテンシャルを秘めたこの新種目が、認知と普及も含め、日本で強く大きく育っていくことを期待したい。

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