歴代最高の卒業生たちが競輪デビュー。2度の受験失敗、世界大会2位、シュワちゃん好きと逸話満載の3人が時代を創る (3ページ目)
在所成績2位の大川剛あこがれはシュワちゃん
大川剛
プロフィールの「目標とする選手または尊敬する人物」の欄に、アーノルド・シュワルツェネッガーと書く大川剛。現在23歳の大川にとっては、カリフォルニア州知事としてのシュワルツェネッガーのほうがなじみ深いはずなのだが、彼が尊敬するのは、どちらかと言うと、70年代から90年代にかけて大活躍したシュワルツェネッガーの姿だ。
「すごい人になりたいなと思っていた時に、YouTubeでシュワルツェネッガーの動画を見ました。ミスターオリンピアというボディビルの世界的な大会があって、そこで6連覇という記録を達成していました。偉人と呼ばれる人はこうあるべきなんだと思いました」
その影響を強く受けた大川は、筋トレが趣味に。「練習で疲れていても、ストレス発散に筋トレをする」など、通常では考えられない日常を送っている。そのためか、日本競輪選手養成所で測った体力記録は日本人の同世代を大きく上回る。
20代前半の男性の背筋力の平均が160kgに対して、大川は211kg。握力の平均が48kgに対して、大川は右88.9kg・左73.9kgだ。ちなみに胸囲が101.5cm、垂直跳びが90cmとこちらも常人レベルではない。
中学時代は陸上競技に励み、高校から自転車競技を始めた大川。しかし「入部した時には、先輩が部室でゲームしているような部活だった」と、上位を目指す厳しさに欠けていた。そんな雰囲気のなかでも「自転車をやるからには勝ちたいと思っていたので、練習は全力でやるようにしていた」と手を抜くことはなかった。
高校時代には「ロードとトラックでインターハイには出場した」が、上位に食い込むことはできなかった。しかしその頑張りが評価されて、スポーツ推薦で大学に進学。引き続き自転車競技に打ち込むことができた。
競輪選手を目指すきっかけは、「カーボン(の自転車)から鉄に乗り換えた時に、それほどタイムが変わらなかった」からだった。鉄、つまり鉄の中にクロムとモリブデンを加えたクロモリは、カーボンよりも重量が重くなる。それでも大川は、すぐに適用でき、違和感なく走れたことで自信が芽生えた。
大川は鍛え上げられた肉体が最大の武器 日本競輪選手養成所での練習は、大川にとっても厳しいものだったが、「強くなるためには必要なことなので、とくに苦にならなかった」。ここでもみっちりとウエイトトレーニングを行なったことで、体が大きくなり、成績も右肩上がりに。最終的に在所成績2位で卒業を迎えることができた。
競輪での目標を聞くと、「特別昇級・昇班を目指して、とりあえずは(デビューから)9連勝を狙っていきたい」と話す。さらに「これからもっと筋トレをして、体をでかくしていきたい」とも語る。
ボディビルダーとして体を鍛えたシュワルツェネッガーが、その後、映画界、政治の分野で大成功を収めたように、大川剛もその鍛えた体で、今後大きな成功を掴むことができるのだろうか。これからの成長が楽しみだ。
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