2022.03.05

平野歩夢の金メダル獲得の要因は「考えられないスタミナ」。トレーナーが語った、桁違いの練習量

  • 寺下友徳●構成 text by Terashita Tomonori
  • photo by JMPA

北京五輪で金メダルを獲った平野歩夢。3大会連続のメダル獲得となった北京五輪で金メダルを獲った平野歩夢。3大会連続のメダル獲得となった この記事に関連する写真を見る 北京五輪で大活躍したスノーボード・ハーフパイプ日本代表。男子は平野歩夢(TOKIOインカラミ)が、過去2大会銀メダルから3度目の正直で金メダル。女子では、冨田せな(アルビレックス新潟)が銅メダルを獲得した。日本勢はなぜ躍進を遂げられたのか。2010年バンクーバー五輪からハーフパイプ日本代表のトレーナーを務め、今大会でもサポートメンバーとして歓喜の瞬間に立ち会った島﨑勝行氏に話を聞いた。

平野歩夢の桁違いのスタミナ

島﨑勝行 バンクーバー冬季五輪の前からスノーボードナショナルチームのトレーナーとしてハーフパイプに関わるようになりました。先月の北京大会では、スノーボードクロスのトレーナーとして帯同するなか、サポートメンバーとしてハーフパイプにも関わりました。(平野)歩夢は少年時代からを知っていて、選手村で会えば「島﨑さん!」とニコニコして声をかけてくれる仲。そんな歩夢が金メダルを勝ち獲った瞬間を、すごいなぁと思いながら見ていました。

 今大会のハーフパイプ会場の雪は、人工雪でした。だからボトム(底)に雪がたまる傾向があって、スピードが出ない選手も多かったんですよね。でも、歩夢は「トリプルコーク1440」を2連続で成功させられた。

 なぜかと言えば、彼の桁違いの練習量による成果だと思います。ハーフパイプの場合、1日に20〜30本パイプに入って練習できれば、「今日はハードに練習した」というふうになるんですが、歩夢の場合、1日に60〜70本。普通のスタミナでは考えられません。

 今、ハーフパイプの世界ではスタミナ・ストレングス(筋力や柔軟性など)・スピード・スキルという「4つのS」が大事とされていますが、歩夢はそのうちの一番の土台となるスタミナがある。その点は非常に大きかったですね。

 ハーフパイプは基本の滑りが安定すると、高さやスピードも出てきます。たとえば、点数を得るために、かつ、技の難易度を上げるためにジャンプを高く飛ぼうと思ったら、パイプのボトム(底)から上がっていく時にいかにスピードを出せるかという技術が大切になる。そこももとを返せば基本を大事に、量を滑ることが必要です。