平野歩夢の金メダル獲得の要因は「考えられないスタミナ」。トレーナーが語った、桁違いの練習量 (2ページ目)
2014年のソチ、2018年の平昌、今回の北京と五輪経験を重ねるなかで、そういった体力がついたことでミスが減り、金メダルの要因となったことは間違いないです。今大会では、歩夢の弟である海祝もリップ(パイプの端)から7.4mの高さまで飛ぶ世界記録を出しましたが、歩夢と一緒に練習していた効果が大きかったと思います。
歩夢は「トリプルコーク1440」以上の大技を北京五輪前にはできるようにはなっていました。本番では出しませんでしたが、その技をマスターしていたことも「トリプルコーク1440」を安定して、余裕をもって出せるうえでは重要な要素になっていたと思います。本人に大会後に話を聞いたら「辛かったです」と言っていたので、その練習量も尋常じゃなかったと思います。歩夢はソチ五輪前では今まで出していなかったトリプルコークの準備をしているなか、直前合宿で大きなねんざをしてしまっていたので......、今回はケガもなく本当によかったです。
躍進の裏側にひとりのコーチの存在
今大会では、2009年のハーフパイプ世界選手権で優勝し、バンクーバー五輪にも出場した青野令が、平昌に続き、専門コーチとして参加しました。彼の役割は非常に大きかったですし、特に冨田せなが銅メダルを獲得したのは彼の存在なくしては語れません。青野は自分が選手として回転に横から縦が加わるようになった時代を経験したことで、技術をより詳細に教えることができます。
しかも、アクロス重信(※愛媛県内にあった屋内練習場、2012年閉館)にいた頃から歩夢らの後輩選手に技術を共有していたうえに、コーチ専任になってより技術指導に専念できるようになったんです。
ここにメンタル面指導に長けている村上大輔コーチ、この2人をまとめる治部(じぶ)忠重ヘッドコーチ、トレーナーの3人がついた体制が「ハーフパイプ・ジャパン」の支えになったと思います。
冨田は五輪にかける思いが強かったのか、予選のあと、「怖い」と号泣しながら私のいたワックス小屋に入ってきました。そうしたなか、岡田良菜がソチ五輪で出した日本女子の最高順位だった5位を超え、銅メダルを獲得できたのは本当によかったです。
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