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小林陵侑、北京五輪で2冠へ。葛西紀明も絶賛する「得しかない理想のジャンプスタイル」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

【2冠も見えてきた】

 そして本番では自分のイメージ通りに体が動き、表彰台争いができると自信を持てた。2本目になると少し強くなった追い風のなかで飛距離を伸ばしきれない選手が続く。そのなかでも風速が0.1m台まで弱くなった時に飛んだ選手は100m前後まで飛距離を伸ばしたが、1本目2位のペテル・プレブツ(スロベニア)は秒速0.28mの追い風のなか99.5mと、その時点で3位と追い上げきれなかった。

 最後の小林を残した時点でトップに立っていたのは、1本目5位のマヌエル・フェットナー(オーストリア)。0.19mの風のなかで104mを飛んで270.8点にしていた。それでも小林が98mを飛べば逃げ切れる得点。

「2本目はさすがに緊張しました」と言っても、小林は全く崩れなかった。秒速0.53mと上位勢のなかでは強めの追い風の条件だったが、ランディングバーンに映し出されたグリーンのトップ想定ラインを軽々と越え、揺るぎのないテレマーク姿勢で着地してガッツポーズを見せた。飛距離は99.5mで、合計得点は275.0点。文句のつけようのない勝利だった。

「前回の平昌五輪は自分に足りないものがたくさんあることがわかった大会でしたが、改めてここで自分がビッグパフォーマンスをできたことで、あの大会は自分を成長させてくれていたと思いました」

 こう話す小林は、五輪に魔物はいたかという問いに「僕が魔物だったのかもしれないですね」と答えた。

 翌日7日には今大会から採用された混合団体がノーマルヒルで行なわれ、小林も出場。高梨沙羅(クラレ)のスーツが規定違反となって1回目のジャンプが無効になるなど波乱が起きたなかでも、小林は安定したジャンプを見せた。

 日本のエースとしての自覚を持ち、技術とパワーに加えて、抜群の空中感覚も持っている小林は、ラージヒルやフライングヒルも得意としている。ノーマルヒルの金メダルと混合団体の経験を経て、2冠獲得に大きく近づいている。 

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