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アイスホッケー池田涼希が語る五輪への道。ラグビー日本代表のように「地獄の合宿に挑戦したらいい」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

 本来であれば、来年は北京冬季五輪があるので、アイスホッケーも五輪の準備ということになるはずだが、男子アイスホッケーはその出場権を逸した。男子に限っていえば、98年の長野五輪に開催国枠で出場して以来、世界の壁が厚く、自らの手で出場権を獲得できていない。アイスホッケーがもうひとつ注目されないのは、日本代表チームの活躍が見えないことも影響しているのは間違いない。

「今回の東京五輪を見て改めて思ったんですが、やっぱり五輪の影響は大きいですね。正直、アイスホッケーの人気が出たのって木村さんのドラマがあった時だと思うんですよ。その影響がめちゃ大きくてうちのチームの茂木(慎之介)は、そのドラマを見てアイスホッケーを始めたそうです。確かにその頃、学校でも『アイスホッケーって格好いいな』と言われていたので、その人気がある時に周囲の友人とかをもっと巻き込めばよかったなぁと思いましたね」

 今、アイスホッケーを続けている選手として、より多くの人に競技を知ってもらい、盛り上げていくには、どうすべきと考えているのだろうか。

「やっぱり五輪に出ることが重要だと思います。僕は、ラグビーがいい見本になると思うんです。世界との体格差はどうにもできないけど、日本人の勤勉性を活かして全員がハードワークしていた。ラグビーは、W杯前に長期合宿をして鍛えたようですが、アイスホッケーも一度、そういう地獄の合宿に挑戦したらいいと思うんです。そうして、海外経験を積んで五輪の出場権を獲得する準備をしていくべきでしょう。現状のまま何も変わらないと北京の次の五輪(ミラノ / コルティナ・ダンペッツォ)も難しいと僕は思っています」

 女子アイスホッケーは、北京五輪出場を決め、注目されている中、男子への興味は非常に乏しい。現状は強い北風が吹いているが、池田には26年のミラノ/コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪に出場しなければならない理由がある。30年冬季五輪に札幌が立候補し、開催地として有力候補になっているからだ。

「30年の五輪が札幌に決まれば開催国枠で出られるかもしれないですが、それだと厳しい結果に終わってしまいます。その前の26年になんとしても地力で出場して、五輪を経験することで30年に繋がるし、多くの人に認知してもらえるようになる。個人的にも地元札幌での開催になればお世話になった方々への恩返しになります。そのためにも代表で若い自分が中心になって引っ張っていくぐらいにならないといけない。そうなれば中堅、ベテランがもっとがんばろうとエンジンをかけると思うし、チーム全体の底上げにつながる。年下には負けないように、年上には噛みつくように、これからはやっていきたいですね」

 9年後、札幌で五輪が開催されたら日本代表のエースとしてその舞台に立ち、幼い頃、リンクで自分を興奮させてくれた選手のように、今度は自らが「ヒーロー」になって日本国民を熱狂させる。池田なら『プライド』以来のアイスホッケーの盛り上がりを実現できるはずだ。

FMヨコハマ『日立システムズエンジニアリングサービス LANDMARK SPORTS HEROES

毎週日曜日 15:30〜16:00

スポーツジャーナリスト・佐藤俊とモリタニブンペイが、毎回、旬なアスリートにインタビューするスポーツドキュメンタリー。
強みは機動力と取材力。長年、野球、サッカー、バスケットボール、陸上、水泳、卓球など幅広く取材を続けてきた二人のノウハウと人脈を生かし、スポーツの本質に迫ります。
ケガや挫折、さまざまな苦難をものともせず挑戦を続け、夢を追い続けるスポーツヒーローの姿を通じて、リスナーの皆さんに元気と勇気をお届けします。

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