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「マンガの世界?」北京五輪金メダル候補の新濱立也、自身も驚く急成長 (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 新濱が一時、世界記録保持者になったのは、世界スプリントから2週後にソルトレークシティで開催されたW杯ファイナルだった。初日の500mで、パベル・クリズニコフ(ロシア)が持っていた世界記録の33秒98を更新する33秒83を出した。2組後のクリズニコフが33秒61をマークし、世界記録保持者は2分後に再びクリズニコフに戻ったというわけだ。それでも新濱は翌日、自己記録を33秒79まで伸ばした。

「(世界記録を更新された時は)それが当たり前だという感覚でした。世界記録保持者として残ってしまったら、逆に怖いといいますか......。無名なところからはい上がってきたばかりの自分の記録が、世界記録として残るわけはない。抜かれて当たり前といった感じ。そのままだったらもっと違う心境になっていたかもしれないので、かえってよかったと思っています」

 世界デビューから難なく結果がついてくる中、ミスがあっても優勝や表彰台を手中に収めてきた。新濱はそれを不思議に感じていたという。「まだいける」との思いが常につきまとっていた、と。

「世界大会に出てから、いろいろなことを考え始めました。技術にしても、メンタルにしても変わったと思います。世界のトップは見えてきているが、まだ取り切れていないのが現実。クリズニコフ選手は速いし技術もものすごく高い。ただ毎レース速いわけではなく、本調子でない時には自分が勝っている。そこを彼が本調子の時に勝てるレベルにしていかなければいけない」

 靴を試した昨季は、序盤の滑りに苦戦した。500mでは村上右磨に5戦4敗だったが、最初の100m通過の差がそのまま結果につながった。その代わり、残り400mのラップタイムは向上した。さらに、前半戦の全日本距離別では、1000mは1分8秒53の国内最高記録で優勝。12月の全日本選手権も途中でコースアウトしてゴールできなかったが、これまでにない、前日の500m以上のスピードを感じた。

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