「マンガの世界?」北京五輪金メダル候補の新濱立也、自身も驚く急成長 (5ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

「400mのラップや1000mがよくなったのはコーナーワークの技術も上がったからだと思います。ただ500mでは最初の100m、1000mは初めの200mがよくない。結局はいいとこ取りの靴は、簡単には見つからないんだと実感しました」

 新濱はそう言って笑う。それでも最終戦の長根ファイナルでリンクレコードの34秒51をマークした際の靴の感覚はよかった。前季まで使用した靴との2択になったという。

「低地リンクのベストはオランダ・ヘレンベーンの34秒07(低地世界最高記録)ですが、34秒2〜3を出すレベルまでいけるのではないかという感触はあります。国内でそのレベルまでいかないと、五輪での金は確実というところまでいかない。この夏のトレーニングで成長したい」

 過去の名選手たちを意識したことは無いし、男子500mが日本のお家芸だと言われていたことにも興味はないという新濱。今は、北京五輪の金は獲らなければいけないものであり、必ず獲るものだという意識しかない。

「周りの期待に応えなければいけないプレッシャーも多少感じることはあります。でも、それがレースに対する緊張感や不安になったことはないですね。だから五輪でどれだけ注目されても、たぶん大丈夫だと思います。両親にしても、これだけの結果を出しても、これまでとまったく変わりはないですから(笑)」

 新濱は、その体格と同じように、大物感を全身から醸し出している。

【profile】
新濱立也 しんはま・たつや
1996年、北海道生まれ。高崎健康福祉大学所属。3歳からスケートを始める。2018ー19シーズンに世界戦デビューを果たし、19ー20シーズンには世界選手権スプリント部門W杯500m総合の2冠を果たす。22年北京五輪500mの金メダル獲得に期待がされる。

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