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「楽しみを見出せなければやめちゃえ」吉田夕梨花が語るカーリング人生 (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――世界選手権などを経験したあと、世界で勝つための戦術など意識し始めたのでしょうか。

「時期的にはそれくらいかもしれません。ただ、世界戦というより、(ワールドカーリングツアーの最高峰タイトルである)グランドスラムに出たい、出られた、ということが大きかったかもしれません。やっと出られたグランドスラムが思っていたより楽しい場所で、あそこで勝つためには何が必要か、考えるようになりました」

――世界のトップ15(あるいは16)が集うハイレベルな舞台ですが、世界選手権や五輪とはまた違うものなのでしょうか。

「会場の盛り上がり方が、本当に別格で、楽しいです。2019年のトロント(プレーヤーズ・チャンピオンシップ)だったと思うんですけれど、どこかの試合で私の投げたフリーズ(ハウス内にあるストーンの前にぴったり寄せる難易度の高いショット)に、カナダのライアン・フライ選手が大きな拍手をしてくれたのをすごく覚えています。

 また、さっちゃん(藤澤五月)の投げたラストロックを、夕湖さんと必死にフルスイープして得点した時には、会場全体でスタンディングオベーションしてくれたこともありました。ああいう選手同士もそうですし、観衆を巻き込むような一体感は本当にうれしかったです。カーリングを続けていてよかったな、といちばん強く感じた瞬間かもしれません」

――2018年平昌五輪に出場し、銅メダルを獲得したことよりも、心に残る強い印象なのでしょうか。

「そうですね。オリンピックについては、すごい経験だったと思いますし、あのなかで戦い切ったことは大切な財産になりました。自分の人生に大きな影響を与えていると思います。でも、大事なんですけれど、それがすべてではない、という気持ちもあります」

――そうなると、夕梨花選手ご自身の、競技としての"ゴール設定"はどこになりますか。

「どこなんでしょうね。自分でもわかっていないのかな......。グランドスラムで優勝したら、『これでよかったな』と満足するんですかね? 満足してしまったら、その時が引退じゃないですか。もしくは『もう1回、次は違う大会で勝ちたいな』という欲が出てくるのかもしれない。どちらにしても、自分自身が『もうこれ以上、成長しないな』と感じたら、そこで終わりだと決めてはいます」

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