2019.11.10

御嶽海が表彰式で母に投げキッス。
まぐれではなく「最高の優勝」だった

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

向正面から世界が見える~
大相撲・外国人力士物語
第5回:御嶽海(1)

 先場所の大相撲秋場所(9月場所)で2度目の優勝を果たし、11月10日から始まった九州場所(11月場所)では”大関取り”がかかる関脇・御嶽海。

“ここ一番”の勝負強さに加えて、明るいキャラクターで人気の御嶽海は、20歳の時に日本国籍を選択しているが、日本人の父とフィリピン人の母との間に生まれたハーフ。フィリピンで生まれ、幼少期はフィリピンで過ごしていた。その後、現在も実家がある長野県で暮らすことになって、相撲と出会う。

 本場所となれば、実家のある長野から母マルガリータさんを中心とした大応援団が頻繁に駆けつけ、熱烈な応援で御嶽海を後押ししている。

 九州場所では、最大の注目を集める御嶽海。そんな彼の知られざる”実像”に迫った――。

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(2度目の優勝を果たした)秋場所の話題の中心は、関脇に陥落した貴景勝の大関復帰なるか――だったと思うんです。

 そんななか、僕は初日に夏場所(5月場所)で優勝した朝乃山に負けて、黒星スタート。それでも、3日目に体重220kgの逸ノ城を、自分のイメージどおりの相撲で寄り切り。それくらいからかな、少し調子が上がってきたのは……。

 一方、注目の貴景勝は初日から5連勝。

 貴景勝と僕は、年齢的には僕のほうが4つ上なんですけど、入門したのはほとんど同じ時期。だから、同期生みたいなもので、彼とは普段からいろいろと話をしていますけど、2場所連続休場のあとの、プレッシャーがかかる状況での連勝を目の当たりにして、あらためて「(彼は)すごいな」「メンタル強いな」と思いましたね。

 この場所は、横綱・白鵬関が指の骨折で2日目から休場。もうひとりの横綱・鶴竜関も8日目から休場してしまい、大関・高安関も初日から休場していたので、中日を過ぎた頃から、関脇以下の力士たちの目つきが変わってきたように感じました。

 2年前くらいまでは、横綱、大関の力が圧倒的で、優勝は彼らだけ、という時代が長く続いていました。だけど、昨年の名古屋場所(7月場所)で、僕が関脇で優勝。九州場所では小結の貴景勝、さらに今年の初場所で関脇の玉鷲関、夏場所で平幕の朝乃山が優勝したことで、ここ最近は、関脇以下の力士にも「俺でも優勝できるかも」「次は俺の番だ!」といった気持ちが芽生えて、誰もがチャンスをつかめる時代に変わってきたんです。