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8月はクライマーにとって正念場に。
日本人最上位なら東京五輪内定 (3ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文・撮影 text & photo by Tsugane Ichiro

 世界選手権の出場権がかかった最初のふるいを突破した選手たちが次に挑むのは、世界選手権コンバインドでの日本人選手・最上位だ。

「僅差の争いになると思うので、私にとっても、ほかの日本人にとっても、厳しい世界選手権の1枠だなと思っています。今年8月に代表を決めるのと、来年5月に決めるのとでは、時間の過ごし方が変わってくるので」

 そう語る野口は、すでに次を見据えて気持ちを切り替えている。

 課題と言われてきたスピードで、野口はコンスタントに9秒台をマークするまで力を高めてきた。この大会で手にした収穫と新たな課題をもとに、世界選手権での五輪代表内定を目指し、ここからの3カ月でのレベルアップを誓った。

 もちろん、それは野中も同じだろう。彼女の気持ちが向かっているのは、6月7日、8日に行なわれるボルダリングW杯の今季最終戦、アメリカ・ベイル大会だ。

「まずはベイル大会ですね。ヤーニャ(・ガンブレット)がすごいことになっているので。開幕から5連勝のヤーニャを止めたいというより、彼女とハイレベルなボルダリングを楽しみたいです。そこからは、世界選手権に向けてのトレーニングになりますね」

 W杯ボルダリングに1戦しか出場できていない野中にとって、ヤーニャ・ガンブレットとの勝負は、故障から復帰してコンディションも高まっているなか、今の実力を試す場でもある。

 野中のクライミングを担当する宮澤克明コーチは、次のように明かす。

「ボルダリングの難しい課題は、正しいフォームで登れないようにしてくる。変な方向に身体が入ると登れないし、それを跳ね返すくらいのフィジカルの強さと、正しい動きが大切になってくる。そこを高めていけば、ボルダリングの練習しかしなくても、スピードはもっと速くなるし、リードもさらに伸びます」

 世界トップレベルの選手が数多い日本のなかで、東京五輪の日本代表の座を勝ち取るのは至難の業だ。野中、野口に限らず、世界選手権コンバインドでの日本人最上位に向けて、代表選手たちはすでに動き出している。8月に大輪の花を咲かせるために――。

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