2019.05.29

8月はクライマーにとって正念場に。
日本人最上位なら東京五輪内定

  • 津金壱郎●取材・文・撮影 text & photo by Tsugane Ichiro

 弾ける笑顔が、会心の勝利を物語っていた。

「うれしいです。自分の持っているダイナミックさを、スピードとボルダリングで出せました。自信を取り戻せましたね」

 スポーツクライミングの「第2回コンバインド・ジャパンカップ」が、5月25日、26日に愛媛県西条市で開催された。今年8月に行なわれる世界選手権への代表選考が、今大会の結果によって決まる――。大きなプレッシャーが圧しかかるなか、男子で2連覇を達成した楢﨑智亜とともに、野中生萌は表彰台の真ん中に立って大輪の笑顔を咲かせた。

世界選手権に向けて順調な仕上がりを見せた野中生萌 例年はスロースターターの野中だが、今季は1月の「ボルダリング・ジャパンカップ」、2月の「スピード・ジャパンカップ」で優勝。東京五輪の出場権がかかる重要なシーズンに、好スタートを切った。

 しかし、3月に左肩を故障したため、4月から始まったW杯ボルダリングへの出場を見送り、リハビリに専念。5月から競技に復帰したばかりだったが、そのなかで手にした勝利を、「久しぶりの感覚ですね」と懐かしんだ。

「スピード」「ボルダリング」「リード」の3種目の複合成績で争われるコンバインドは、各種目の順位を掛け算して算出する合計点が少ないほど上位になる。そのため、得意種目でしっかりと1位ポイントを獲得できるかが、勝敗の大きな分岐点だ。

 今大会、野中は初日の予選を首位で通過すると、8名で争う決勝でも圧巻のパフォーマンスを見せた。結果は、スピード1位×ボルダー1位×リード7位の7ポイント。ほかの選手の追随を許さない展開に持ち込み、勝利を手繰り寄せた。

 野中のスピードの実力は、単種目のスペシャリストには1秒ほど及ばないものの、コンバインドで五輪出場を狙う各国選手のなかでは、頭ひとつ抜け出ている。今大会の予選で自己記録を8秒499まで伸ばしているが、コンスタントに8秒台を出せる強みを持つ。

 そして、野中のもうひとつの武器が、昨年はW杯で年間女王になったボルダリングだ。この大会では、そのボルダリングが勝敗を大きく分けることになった。