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8月はクライマーにとって正念場に。
日本人最上位なら東京五輪内定 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文・撮影 text & photo by Tsugane Ichiro

 1課題目は、ゴール獲りで足を滑らせて危うく落ちかけながらも、粘って1アテンプト(※)目で完登(課題を登り切ること)。2課題目は完登できなかったものの、3課題目も1アテンプトで完登に持ち込み、この種目の1位を決めた。

※スタートを切ること。完登数が同じ場合は、完登した課題のアテンプト数が少ない選手が成績上位となる。

 野中も「ボルダーで1位になったのが勝因」と振り返ったのは、W杯ボルダリングで通算21度の優勝回数を誇り、今なお世界トップレベルの実力を誇る野口啓代の存在があるからだ。

 この大会での野口は、予選最初の種目のスピードで9秒452の自己ベストをマークして幸先のいいスタートを切りながらも、その波に乗り切れずに予選は4位通過。決勝ではスピード3位×ボルダリング2位×リード2位の12ポイントで、総合2位で終えた。ボルダリングの取りこぼしが響いて野中の後塵を拝したことが、「タイトルにはこだわりたい」という決意を実現できなかった敗因だった。

 ただ、この結果は、8月に控える大舞台への試金石に過ぎない。

 東京五輪には、国際スポーツクライミング連盟が指定する大会で条件をクリアした選手に出場の権利が与えられ、各国とも男女それぞれ最大2名までが出場することできる。強豪国の日本からは、2名以上が五輪への出場権を手にする可能性が高い。

 日本山岳・スポーツクライミング協会は、今年8月に東京八王子市で開催される世界選手権で7位以内になり、なおかつ日本人選手のなかで最上位になった1名を内定。もう1枠はすべての指定大会の終了後に、五輪出場への権利を手にする選手が複数の場合は、来年5月のコンバインド・ジャパンカップで決定することを発表している。

 その世界選手権に出場する日本代表メンバーには、男子は今大会の予選通過時に世界選手権代表の条件をクリアした五輪強化Sランク選手・楢﨑智亜、原田海(今大会2位)、藤井快(こころ/同3位)、楢﨑明智(同6位)と、それ以外で最上位となった土肥圭太。女子ではSランクの野中、野口のほかに、森秋彩(あい/同3位)、谷井菜月(同4位)、倉菜々子(同5位)が内定した。

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