「令和」最初の大相撲。
錣山親方が気になった貴景勝の異変とは? (3ページ目)
大穴は、前頭3枚目の玉鷲です。今年の初場所、34歳で初優勝したことでもわかるように、もともと力がある力士なんです。30代中盤となった今、さらに力をつけてきた印象があります。
彼の、相撲力のマックスが「10」としたら、本場所でも「8」の力を出せば、勝てる実力があります。優勝したことで"勝ち方"もわかってきた分、上位陣にとっては脅威の存在になるのではないでしょうか。
優勝争いとは別に、身長168cm、体重99kgの小兵力士として話題となっている、新入幕の炎鵬にも注目しています。動きがトリッキーで、見ていて楽しい相撲を取ってくれますからね。
ただ、心配なのはケガです。
私が現役の頃も、旭道山さん(元小結)や、舞の海さん(元小結)など体重100kgに満たない関取がいて、体重110kg前後の私も、体重200kg越えの小錦さん(元大関)、大乃国さん(元横綱)などの大きな力士と戦っていました。しかし、今の力士はさらに大型化し、幕内力士の平均体重は160kg以上。小兵力士にとっては、かなり厳しい状況にありますからね。
とはいえ、彼自身、そうしたことも覚悟のうえでこの世界に飛び込んできたのでしょう。だからこそ、あれほど派手な相撲が取れるのだと思います。その奮闘ぶりも、しっかり見届けていきたいですね。
今場所も、話題の力士、注目の力士がいっぱいいます。ファンのみなさんには、彼らの白熱した戦いを大いに楽しんでいただければと思います。
ところで、この夏場所の前、錣山部屋の師匠として、うれしい出来事がありました。
入門から12年、コツコツ努力してきた彩(いろどり)が、新十両昇進を決めたのです。ウチの部屋からは4人目の関取誕生ですが、15歳の時から指導してきた彩の十両昇進が、私としては一番感慨深いですね。
得意技は、私と同じ突っ張り。そんな彩にも、注目していただけるとうれしい限りです。
photo by Kai Keijiro錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。
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