「令和」最初の大相撲。
錣山親方が気になった貴景勝の異変とは? (2ページ目)
ただその稽古中、ちょっと気になったのは、頭から当たる相撲を取っていなかったこと。どうやら、それ以前の稽古で相手に激しく突っ込んでいったことで、首を痛めているような様子でした。
もちろん、貴景勝はどこかを痛めていても、「痛い」とか「つらい」とか言うタイプではありません。それどころか、顔にも出さないので真実はわかりませんが、私らプロの目から見ると、彼のちょっとしぐさから、そんなことを感じました。
まあでも、本場所に向けて大事を取っていたこともあるでしょうから、そこまで心配はしていませんでした。
当然、新大関というプレッシャーもあると思います。しかし、プレッシャーにビクビクするタイプでもないのが、貴景勝のいいところ。そうした強みも、この場所で示してくれるのではないでしょうか。
また、「押し相撲の大関は大成しない」などと言われることがありますが、そうしたジンクスも彼なら払拭してくれると思っています。かつて、千代大海が突き押し相撲で長く大関を務めていますしね。
無論、貴景勝にはそれ以上の活躍を期待しています。その一端を、この夏場所でも示してほしいですね。そして、さらなる努力を重ねて、新しい大関、横綱像を築いてほしいと思っています。
さて、優勝争いについては、安定感抜群の横綱・鶴竜が有力候補と見ています。春巡業からコツコツと稽古をこなしてきて、場所前の稽古でも元気なところを見せていましたからね。
ここ数場所、このコラムではずっと彼を優勝候補に挙げてきましたが、なぜか負傷による全休や途中休場などもあって、なかなか結果を残せていません。しかし、昨年夏場所以来の優勝へ、本人も意欲を燃やしていると聞いています。今度こそ、期待に応えてほしいと思っています。
2番手は、大関・豪栄道。力はあるのですが、ポカが多いため、最終的にはなかなか優勝には手が届きません。そういう状況を見て、いつも「もったいないなぁ」と思っています。
ですから今回も、私は豪栄道を推します。「しつこい」と思っている方もいるかもしれませんが、本当に力があるので、期待し続けたいと思います。
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