2019.05.21

相撲女子が胸キュン必至。「ひねり王子」
炎鵬はニュータイプの力士だ

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kyodo News

 新たな元号「令和」となって初めての本場所となった大相撲夏場所で、新時代に相応しいフレッシュな風が吹いている。新入幕の西前頭14枚目、24歳の炎鵬(宮城野部屋)だ。

 幕内力士の平均体重が160キロを超える”大型化”が進むなか、身長168センチ、体重99キロと幕内最小の体で”土俵狭し”と動き回る相撲は新鮮そのものだ。場所前に掲げた2桁勝利と三賞獲得に向け、9日目を終えた時点で7勝2敗と大健闘。連日、館内から注がれる喚声に「やる気になります。自分の原動力になっています」と目を輝かせる。

6日目には体重79キロ差の矢後(右)に勝利した炎鵬(左) 出身は、石川県金沢市。5歳で相撲を始め、金沢市立西南部中学3年生の時には、同級生だった幕内の輝(高田川部屋)と共に「全国都道府県中学生選手権」で団体優勝を果たした。金沢学院東高校(現・金沢学院高)に進学し、3年時には毎年5月に行なわれる全国大会「高校相撲金沢大会」の個人戦で3位。さらに金沢学院大に進むと世界選手権の軽量級で2年連続優勝を飾った。

 大学卒業にあたり就職活動を行なうなど、当初は大相撲の世界に入るつもりはなかった。だが、宮城野部屋の稽古を見学した際に、横綱・白鵬から直接スカウトされて入門を決意。アマチュア時代から”ひねり技”が得意だったことから「ひねり王子」と呼ばれ、白鵬の内弟子として2017年春場所で初土俵を踏んだ。

 翌夏場所の序ノ口デビューから期待以上の活躍を見せ、序ノ口、序二段、三段目で優勝し、さらに秋場所の7番相撲まで負けなしの21連勝を記録するなど、わずか1年後の2018年春に新十両に昇進した。これは幕下付け出しを除き、前相撲からの所要場所では史上1位タイとなるスピード出世だった。

 四股名の「炎鵬」も、入門前からその相撲センスとあふれる気迫に白鵬がほれ込んで自ら命名した。小さな体でも「気持ちで負けないように、常に燃えてほしい」との思いを込めて、「炎」に白鵬の「鵬」を組み合わせた”白鵬の秘蔵っ子”として、出世街道をひた走ってきた。

 体重100キロ未満の力士の新入幕は、2011年秋場所でチェコ出身の隆の山が果たして以来、8年ぶり。「小さい子にもこの体で勝つところをみせたい」と巨漢力士に挑む姿は、昭和時代に”ちびっこギャング”と評された関脇・鷲羽山、平成では”技のデパート”と謳われた小結・舞の海らを思い起こさせる。