平成最後の本場所で貴景勝の大関獲りは実現するか――錣山親方の視点 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 ところで今場所は、いずれも24歳という照強、大翔鵬、友風と、3人の新入幕力士が誕生しました。なかでも注目は、1995年1月17日、阪神淡路大震災の日に生まれた、淡路島出身の照強です。

 身長169cm、体重116kgの小兵ながら、仕切りからギラギラした闘志を前面に出して、相手をにらみつけるスタイルは圧巻です。手に大量の塩を持って思い切り巻き上げ、とにかく「絶対に勝ってやろう!」という気迫がみなぎっているのがいいですね。

 それだけ元気があるから、見る者を引き付けるんです。現役時代の私も小兵の部類でしたが、小兵力士はそれぐらいの強い気持ちがないと、幕内を維持することができないのです。

 振り返れば、昭和天皇のご崩御を受けて、1日遅れで初日を迎えた平成元年の初場所、私は前頭筆頭でした。大相撲がお好きで、幾度も国技館に観戦にいらした昭和天皇がご崩御されて、ただただ哀しかったことが思い出されます。

 あれから31年。今、私は親方として弟子を指導しています。この平成最後の場所においても、全力士たちの精一杯の戦いを期待しています。

photo by Kai Keijirophoto by Kai Keijiro錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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