髙木美帆は世界記録保持者になって思う。「あまり意味がないのかな」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 その疲労もあったが、「回復してきた中でのレースだったので、疲れがすごい残っているわけではない」という状態で生まれた好記録だった。

 一方の小平も、「髙木選手の背中を借りて気持ちのいいレースができました」と言い、両者納得の大接戦となった。

 レース後に髙木は「今日は相当にリンクが滑っていたので、単純に一喜一憂している感じではないですね。ただ、去年より速いタイムを出せたというのは、明日の1500mへ向けての自信になる」と冷静に話していたが、専門種目と自負する1500mで、正真正銘の世界記録保持者になった。

 女子1500mは、この日最初のレースで氷や気圧の影響がわからない状態だったが、最終第6組だった髙木は、先に滑った選手たちのレースを見て自分のレースを組み立てた。

 第4組で滑った1000m優勝のボウとエカテリーナ・シホワ(ロシア)が、それまでの世界記録(1分50秒85)を大きく上回る、1分50秒32と1分50秒63を出した後だったこともあり、髙木はバックストレートでスタートした後の200mを過ぎからのホームストレートも攻めた。

「そこはボウ選手に習いました。このリンクは最初にスピードを出した方が有利かなと思ったので。いつもだったら後半のことを考えてちょっとブレーキをかけてしまう部分があったけど、その殻を破りたいという思いもあった」

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