金メダルを獲得してもスピードスケート小平奈緒が現役を続ける理由

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

コーチが語る小平奈緒の急成長(3)

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 平昌五輪での小平奈緒(相澤病院)の強さは、技術だけではなく、精神面からしっかりと積み上げてきたものだった。小平自身、自分の状態を自己分析でき、その時点でのありのままの自分を受け入れて「どうやればもっとよくなるか」ということだけを考えられる精神状態になっていた。

平昌五輪で、結城匡啓コーチと喜びを分かち合う小平奈緒平昌五輪で、結城匡啓コーチと喜びを分かち合う小平奈緒 そこまで精神力を高められた理由は「やはりオランダの2年間」にあると、結城匡啓(ゆうき・まさひろ)コーチは語る。

「それまでは、ガムシャラにやることに集中していましたが、今は自分の中でスマートにまとめていくというか、動きにしてもトレーニングの中身にしても、ほんのちょっと余裕を持って、まとめていく方が実際のレースにつながるということがわかったようです」

 オランダに行き、自分より優れている選手たちの練習を見て、「疲れるまでやらなくても、この程度であとはリカバリーをすれば、休んだあとにまた強さが戻ってきているということを肌で感じたのではないか」と言う。

 またその頃、W杯では表彰台に上がるようにはなっていたものの、500mのW杯総合は5~7位で足踏み状態。13年には、イ・サンファ(韓国)が36秒台の世界記録を連発して36秒36まで記録を伸ばしていた。そういった背景もあり、「ソチ五輪前にもそういう(練習をやりすぎなくても強くなれる)感覚はあったと思いますが、それをできなかったのは彼女自身に自信がなかったからだと思う」と結城は振り返る。

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