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「サービスのとき手が震えた」
桃田賢斗の勝ちたい度はMAXだった (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 一方で、勝った瞬間にどこか寂しさも感じたという。

「リー・チョンウェイ選手の時もそうでしたが、ふたりにはすごく勉強をさせてもらっているし、影響力もある憧れの選手なので、ふたりに勝った時には『やってやったぞ!』と言うより寂しさも感じました」

 そんな桃田を林は、「今日の彼は絶好調でプレーをしていたし、彼は元々優秀な選手でしたが、プレースタイルはもちろん技術もスピードも向上していて、今はオールラウンドプレイヤーの近い形になっている」と評価し、「これからも、まだまだ彼とは戦っていくと思うので、自分としては刺激を受けたというよりは、これから戦っていくうえでのいい教訓になった」と、次の対戦へ意欲を口にした。

 準決勝の同い年のアクセルセンとの戦いは、別の組み合わせで世界ランキング2位の石宇奇(中国)が1回戦で敗れていたため、事実上の決勝だった。14年5月から勝ち続け、復帰後も今年のトマス杯とインドネシアオープンで勝っている分のいい相手だが、アクセルセンは桃田対策を練っており、慎重な試合運びと角度のあるスマッシュが出て、第1ゲームは一時13-17とリードされた。

「そのときは心も折れそうになりましたが、観客の声援が力になって、相手のスピードが少し落ちたのも分かったのでもう一段スピードを上げました」と、6連続得点で逆転して19-17にした。

 その後は18点目を許したが、次のラリーではアクセルセンが打ったスマッシュが外れてゲームポイントを握る。

「最後のラリーはお互いにきつくて、僕もスマッシュを打ってもライン上に行く気がしませんでした。多分お互いにそうだったと思いますが、自分がキレのある動きをできなくなってきているのがわかっていたので、とりあえずはフットワークを使って相手のコースに返そうという気持ちでやっていました」と、そのまますんなり押し切って21-18でゲームを先取した。

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