渡部暁斗、つぶれる覚悟で「ドイツ軍団」に突っ込んだ戦いに悔いなし (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 渡部暁斗以外の日本勢は、ジャンプで13位と健闘した永井秀昭(岐阜日野自動車)が12位、ジャンプ8位の山元豪(ダイチ)が16位、ジャンプ20位の渡部善斗(北野建設)が20位そのままでゴールした。

 ノルディック複合最後の種目となる22日のラージヒル団体では、永井、山元、渡部善斗とジャンプでミスなく4番手の渡部暁斗へと繋いだ。その流れを受けて、エースらしい137.5mの大ジャンプを飛んで、総合3位につけた。

 トップのオーストリアから6秒差でドイツ、19秒差で日本、27秒差でノルウェーと続き、熾烈なメダル争いが期待された。

 スタートしてまもなくドイツが単独首位で引き離すと、落ちてきたオーストリア、日本、ノルウェーの銀、銅メダル争いの展開となる。

 しかし、3番手の山元が、残り1kmで一気に引き離されると、4番手の渡部暁斗にできることは、もはや残されておらず、日本は4位でメダル獲得とはならなかった。

 今大会、金メダルを目指していた渡部暁斗にとって、ソチ五輪と同じ銀メダルひとつという結果は悔しいものだった。団体の試合後には「4年間かけて、あまり何も変わらなかったという気持ちが残っている」と正直な心境も明かしている。

 それでも最後は、「何か僕のレースを通して、見てくださった方に伝わったものがあったり、複合のレースのおもしろさや深さがひとりでも多くの方に伝わって、ひとりでもファンの方が増えてくれたらうれしい」と前向きに話した。

 五輪で目指したものが高く、大きかったがゆえに、平昌での結果にはほろ苦さも残ったが、"キング・オブ・スキー"(年間総合王者)の座をかけた渡部暁斗の戦いはまだ終わらない。

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