白井健三がリオで見つけた目標「6種目やる。航平さんに追いつきたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 白井健三、19歳。初めてのオリンピックは金メダルひとつ、銅メダルひとつという素晴らしい結果を残した。ただ、得意なゆかで結果を残せなかったことは意外だった。団体の活躍から中5日で行なわれた、体操男子種目別ゆか。最後のひとりを残した7番目に登場した白井は、最初の連続技を慎重に決めると、2本目の"リ・ジョンソン"の着地を一歩後ろに弾むだけに抑えた。

跳馬では新しいシライ2にも挑戦し、見事五輪の舞台で成功させた白井健三跳馬では新しいシライ2にも挑戦し、見事五輪の舞台で成功させた白井健三 すでに演技を終えていた6名の中の最高得点は、マックス・ウィットロック(イギリス)の15.633点。団体決勝では16.133点を獲得していた白井にとっては、造作ないもので、普通にやれば金メダル獲得が確実な状況だと、誰もが確信していた。

 だが種目別での演技は何かが違い、いつもより高い緊張感に包まれて演技を続ける中、ミスが目立った。結局その得点は、難度を示すDスコアこそ団体戦と同じ7.6点だが、実施のE得点は0.734点低い7.766点。合計は15.366点の4位と、優勝どころかメダルにさえ手が届かなかった。

「緊張したというより、予選でやってしまったラインオーバーを意識し過ぎてしまいましたね。手前で技を終わらせ過ぎようとしたというか......。今日はほとんどが(着地が)内側に動いているので、ラインを気にし過ぎるという心の小ささが出たのかなという感じです。予選は攻め過ぎたところがあったけど、団体では修正できていたので自分の中では『もう大丈夫かな』と思っていました。でもやっぱり、心の奥の方では予選の修正をし切れていない自分がいて、それが顔を出してしまったと思います。自信はあったんですけど、"心の底"は自分に正直だったという感じですね」

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