悲願達成の「舞台裏」。LS北見がカーリング日本一に輝いた理由

  • 竹田聡一郎●文・撮影 text&photo by Takeda Soichiro

「『やったぜ!』というより、『ありがとう』という感じです」

 第33回全農 日本カーリング選手権(2月6日~13日/青森・みちぎんドリームスタジアム)は、ロコ・ソラーレ北見(LS北見)が悲願の初優勝。大会MVPを獲得したLS北見のスキップ・藤澤五月は、女王の座に就いた実感をそう表現した。

日本選手権初優勝を飾ったLS北見。左から藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花、本橋麻里日本選手権初優勝を飾ったLS北見。左から藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花、本橋麻里 富士急と対戦した決勝では、リードの吉田夕梨花、セカンドの鈴木夕湖、サードの吉田知那美の3人がそれぞれの"仕事"をきっちりと遂行し、LS北見が常にゲームの主導権を握っていた。今季は出産もあってリザーブとしてチームを支えた本橋麻里が、「安心して見られた」と語るほど、磐石のゲーム運びだった。

 その結果、スキップの藤澤が狙うショットは、「シンプルショット」と呼ばれる、さほどリスクを必要とせず、プレッシャーの小さいショットで済むことが多かった。キーショットとなった第3エンドのヒットステイ(※1)も、2点をスチール(※2)した第4エンドのドロー(※3)も、藤澤の技術であれば、決して難易度の高いものではなかった。
※1=相手のストーンに自分のストーンを当てて、相手のストーンを動かす、あるいは弾き出して、自分のストーンをその場に残すショット。※2=不利な先攻で得点を奪うこと。※3=狙った場所に自分の石を止めるショット。

 ゆえに藤澤は、冒頭のコメントも含め、「私は(ショットを)決めるだけでよかった。チームに勝たせてもらいました」と、チームメイトに感謝しきりだった。

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