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【大相撲】エリート御嶽海は、学生相撲出身のジンクスを破れるか? (2ページ目)

  • 福留崇広●文 text by Fukutome Takahiro photo by Kyodo News

 日本相撲協会によると大学出身力士は、これまで206人。そのうち、十両以上の関取に昇進したのが114人と半数以上は月給が支給される地位への昇進を果たしている。

 しかし、最高位の横綱に昇進したのは、1970年初場所で初土俵を踏んだ日大出身の輪島ただ1人。大関も1961年春場所に東農大から初土俵を踏んだ豊山(時津風部屋)から、2007年名古屋場所後に昇進した琴光喜(佐渡ヶ嶽部屋)まで7人(輪島を含む)しかいない。中でも御嶽海と同じように学生時代に輝かしい成績を収め、幕下付け出しの資格を得てデビューした力士は93人いる。いずれも将来は「横綱か。大関か」と大きな期待をかけられプロの門を叩いたが、結果的には付け出しでデビューした力士で大関まで昇進した力士は、1割にも満たない厳しいデータが出ている。

 高い能力を持ちながら、三役の壁を突破できない学生出身力士が多い背景には、志とプロとしての目的の問題がある。中学や高校を卒業し、故郷を捨て角界に飛び込む力士には、「この世界で生き残るしかない」という強迫観念にも近いハングリーさがある。今、土俵を席巻するモンゴル勢は、その典型。かつて朝青龍にこう言われた。

「オレらは、もう帰る場所はない。ここで勝ち続けないと生き残れないんだ」

 彼らは母国では得られない大金と待遇を得ようと毎日、後がない状況に自らを追い込み、稽古を重ねてきた。母国の先輩、同期が同じように汗を流す姿を見て、切磋琢磨した結果が今のモンゴル時代を築き上げたのだ。

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