現役力士が語る、大相撲の「最新ちゃんこ事情」と「勝負メシ」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

特集 スポーツの秋、食の秋(5)

アスリートの「食」と言えば、気になるのは「食べることも仕事」と言われている大相撲の力士たちの食生活である。稽古後に部屋の力士たちで囲むちゃんこ鍋の話をはじめ、力士の"勝負メシ"や、最近の力士たちの「食」に対する思いなどを、人気力士の旭日松関に聞いた――。

制限時間いっぱいで豪快な塩まきを見せる旭日松関。制限時間いっぱいで豪快な塩まきを見せる旭日松関。 お相撲さんの食事って、基本的には昼と夜、1日2食なんですよ。

 最初の食事は、早朝からの稽古がお昼前に終わって、ひとっ風呂浴びたあと。部屋のみんなで鍋を囲む、昼のちゃんこ()の時間です。朝から激しい稽古をするため、稽古前は原則、何も食べません。だから、体はヘトヘト、腹はペコペコという状態で食べるちゃんこは、この世の中で、一番美味しい食べ物なんじゃないかと思うくらいですよ(笑)。
※部屋の力士が作って食べる料理のことはおおよそ「ちゃんこ」と言う。

 ちゃんこを食べる順番は、厳しく決まっています。親方、関取衆(十両以上の力士)、そして後援会の方などお客さんが先に食べ始めて、そのあと、ようやく若い力士たちがちゃんこにありつけます。

 これは、どこの相撲部屋でも守られている、しきたりです。それで以前は、「若い衆がちゃんこ鍋を食べるときには、具がなくなっていて、汁だけだった」なんていう話もあったようですが、今はそんなことはありませんよ。具もしっかりと、みんなに行き渡っています(笑)。

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