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【大相撲】エリート御嶽海は、学生相撲出身のジンクスを破れるか?

  • 福留崇広●文 text by Fukutome Takahiro photo by Kyodo News

 2015年の納めの場所となる大相撲11月(九州)場所が8日、福岡国際センターで初日を迎えた。横綱昇進後、初の休場明けとなる白鵬(宮城野部屋)、2場所連続休場から復活を期す日馬富士(伊勢ヶ浜部屋)など上位陣の動向が気になる場所だが、幕内でフレッシュな風を送り込む力士が現れた。

 初土俵からわずか4場所で新入幕を果たした御嶽海(出羽海部屋)だ。東洋大4年だった昨年、学生とアマチュアでともに横綱に輝き、幕下10枚目格付け出しで、今年の春場所でデビューした大器。所要2場所で新十両に上がり、7月場所で優勝。先場所も12勝を挙げ、トントン拍子に出世の階段を駆け上がった。

朝稽古で調整する御嶽海。3日目を終えて、2勝1敗朝稽古で調整する御嶽海。3日目を終えて、2勝1敗

 初土俵から4場所での新入幕は昭和以降で史上2位のスピード記録。あまりのスピードにまげは結えず、ザンバラ髪のままの新入幕となった。さらに長野県出身としては、43年ぶりの幕内力士の誕生で、後援会が結成されるなど、出身地の木曽町をはじめ県全体で御嶽海フィーバーが沸き上がっている。

 魅力は真っ向からの突き押しだ。178センチ、145キロの体で弾丸のように相手へ飛び込んでいく。入門前から、同じ東洋大出身で元幕内・木村山の岩友親方(春日野部屋)が「前に出る圧力なら今でも幕内で通用する」と太鼓判を押していた、パワーと気っ風のいい取り口が最大の武器だ。「緊張した」と振り返った初日は、幕内で2番目の年長力士となる36歳の豪風(尾車部屋)と対戦。立ち合いの圧力と相手の力を利用しながらのいなしが得意な相撲巧者に、横から攻められても体勢が崩れず完勝。2日目も三役経験者の高安(田子ノ浦部屋)を得意の突き押しで一気に押し出し、最高のスタートを切った。2年前の遠藤(追手風部屋)、昨年の逸ノ城(湊部屋)と同じようなザンバラ旋風が博多の町に吹き荒れる予感がしてきた。

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