【月刊・白鵬】横綱が史上最多優勝よりも喜んだ出来事とは (2ページ目)
そうした周囲の活気あふれたムードも、私の気持ちに火をつけたのでしょう。「彼らには負けられない!」という思いに駆られましたからね。
その分、場所に入ってからも毎日が必死でした。鶴竜が2日目に早くも土をつけ、シャープな動きが際立っていた日馬富士も7日目に1敗を喫しましたが、気を抜くことはありませんでした。
おかげで、9日目には関脇2場所目となる注目の逸ノ城にも勝って、13日目には稀勢の里との一番で取り直しの末に勝利。そしてその瞬間、通算33回目の優勝が決まりました。これほど早い段階に記録を達成できるとは、自分でも驚くばかりでした。
こうなってくると、残り2日間も勝って、全勝で新記録に華を添えたいと思いました。そうして新たな意欲が沸いた私は、14日目に日馬富士を撃破。千秋楽の結びの一番でも、鶴竜との1分を超える大相撲を制することができました。その取組み中は、国技館を埋め尽くしていたお客様の声援や熱気を体全体で感じていました。ゆえに、鶴竜を寄り切った瞬間は、先場所の優勝とは違う"達成感"を味わうことができました。
この初場所15日間は、全日満員御礼という、うれしい出来事もありました。さまざまな喜びが重なって、改めて大相撲の素晴らしさを痛感し、いい波に乗っている相撲界で戦えることに幸せを感じています。
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