【月刊・白鵬】横綱が史上最多優勝よりも喜んだ出来事とは
第47回:石浦
1月場所で5場所連続、通算33回目の優勝を飾った白鵬。初場所(1月場所)で史上最多となる
通算33回目の優勝を成し遂げた横綱だが、
同場所ではそれ以上の喜びがあったという。
それは何だったのか――。
先の初場所(1月場所)では、おかげさまで全勝優勝を飾ることができました。その結果、通算33回という史上最多優勝記録を達成させていただくこともできました。応援していただいたファンのみなさんには、ただただ感謝するばかりです。
昨年末の九州場所(11月場所)では、「角界の父」と慕う大鵬関の優勝32回の記録に並ぶことができました。その達成感というのは、私にとっては相当大きなものでした。それだけに、その後はその感慨にどっぷりと浸っていました。できることなら、ずっとそのままでいたいと思っていたほどです。大仕事を果たして、それ以上の目標を定めることなど、とても考えられないとも思っていましたからね。
しかし2015年を迎えて、初場所が目前に迫ってくると、私の気持ちも徐々に変わってきました。そして初場所が始まると、「やっぱり、新記録(通算33回目の優勝)を狙ってやる!」と、一気に前向きになりました。きっと、私は根っからの"勝負師"なんでしょうね(笑)。
初場所前の稽古場では、復調気配の日馬富士が激しい稽古を繰り広げていました。優勝を狙う強い気持ちが、私にもひしひしと伝わってきました。もうひとりの横綱・鶴竜も、場所前に婚約を発表。横綱としての初優勝を目指して、気合いがみなぎっていました。また、大関の稀勢の里も、初優勝、そして横綱への足がかりを作るべく、相当意気込んでいるという話が、私の耳にも聞こえてきました。
1 / 4
著者プロフィール
白鵬 翔 (はくほう・しょう)
1985年3月11日生まれ。モンゴル・ウランバトール出身。本名:ムンフバト・ダヴァジャルガル。宮城野部屋所属。2001年3月場所の初土俵から順調に昇進し、2007年7月場所で横綱昇進を果たす。以来、安定した相撲で勝ち星を重ね、数々の記録も打ち立ててきた