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【スピードスケート】ソチ五輪代表決定。男女ともにメダル獲得への期待大 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 今大会、意地を見せたのは加藤だった。バンクーバー五輪後は、ソチ五輪の本番に向けてのピークの作り方をいろいろと試すシーズンを続けていたが、その中でも昨季はW杯総合2位、世界距離別選手権500m2位と結果を出していた。そして今季もW杯第2戦の初日に優勝し、第4戦の2日目に2位と結果を出した。そして今回の選考会はソチ五輪前最後の公式戦になるため、少しでも五輪のシュミレーションになるようにと臨んだ大会だった。

 その結果、ただひとり34秒台を2回出し、2位の長島に合計で0秒52差をつける圧勝だった。

「100mの滑りは多分いけると思っていたけど、いいことばかりイメージしても思い通りにいかないことも多い。まだ滑りは安定していると思っていないけど、結果的に安定した記録が出たのは、シーズン後半に向けて調子を上げていくという試みが、少しずつ出来てきているのかなと思いますね」

 こう話す加藤は、五輪前最後の公式戦として納得できる滑りをした。

 一方の長島は、W杯開幕戦で失敗したが、第2戦ソルトレイクシティー大会の2日目と第3戦アスタナ大会の2日目に優勝し、今月初めに行なわれたベルリン大会では初日3位、2日目4位と調子を上げてきていた。だが今回の選考会の1本目は本人が「0点です」というように失敗レースで35秒09。2本目も同走の加藤に離されて最後は35秒19でゴール。「W杯が良くてちょっと調子に乗っていたから、ここで負けて良かったんじゃないですか」と笑う。

 長島の場合はバンクーバー五輪後に、スケート靴など新しい道具を試したり、コーナーの滑りの改良に務めていたが、結果を残せていなかった。だが今季は道具も決まって滑りもいいイメージが出来上がりつつあり、W杯2勝という結果にもつながっている。それでも彼の場合は1000mにも出場し、1月18日から長野市で行なわれる世界スプリント代表にも選ばれた。そのため今大会は、「世界スプリントが五輪前の最後の実戦の場だ」という余裕もあったようだ。

 ただ、W杯ランキングは長島が3位で加藤が4位と金メダルを視野に入れる位置にいるが、今季のW杯ではバンクーバー五輪王者のモ・テボン(韓国)がランキング1位にいるのを含め、8レースで7人の優勝者が出ている大混戦。順調な仕上がりを見せているふたりだが、勝負はソチ五輪でのレース当日にどこまでピークを合わせられるかということにかかりそうだ。

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