2013.03.10

【月刊・白鵬】春になると思い出す、12年前の出来事

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

相性のいい大阪場所で北の湖に並ぶ24度目の優勝を狙う白鵬。第24回:新弟子

大阪で年に一度開催される3月場所。
横綱はこの時期になると、
いつも思い出す出来事があるという。
そしてそれが、改めて相撲への活力となる。

 3月10日から大相撲春場所(3月場所)が始まります。年に一度、大阪で開催される本場所です。一昨年は、不祥事の影響で中止になるという前代未聞の出来事が起きましたが、昨年は大阪のみなさんに温かい声援をいただき、私は22回目の優勝を果たすことができました。

 そして今年も、大阪入りしてからファンの方々の大相撲への期待度の高さをひしひしと感じています。3月2日には、初めて大阪の住吉大社で、横綱の土俵入りを行ないました。大阪のファンの前でも、東西の横綱がそろった姿をお見せできたことは、とても満足していますし、同時に気持ちが引き締まりました。

 また、春場所の運営を担当されている貴乃花親方も、吉本興業とタッグを組むなどして、大相撲のPRに奮闘されています。協会一丸となっての「春場所を盛り上げよう」という思いは、私たち力士の発奮材料にもなっています。

 そんな中、場所を目前に控えた私は、稽古相手を求めて、精力的に出稽古をこなしました。最初に訪れたのは、春場所で初の対戦が予想される千代大龍(前頭2)がいる九重部屋。九重部屋には、千代大龍の他にも、千代の国(前頭14)、千代鳳(十両3)など、活きのいい若手がたくさんいます。私も、若い頃に立ち返った気持ちになって、充実した稽古ができました。

 時津風部屋に出かけた際には、日馬富士関と偶然遭遇するというハプニングもありました。横綱が出稽古先でかち合うことは、滅多にありません。私は大関の鶴竜が時津風部屋に出稽古に行く話を聞いて出向いたのですが、日馬富士関もおそらく同じ目的だったのでしょうね。

 その場では、お互いにそれぞれの状態を観察し合うという雰囲気で、胸を合わせることはありませんでしたが、稽古の様子を見る限り、日馬富士関の調子は良さそうでした。その前の週から、所属の伊勢ヶ濱部屋でかなりの番数をこなしているらしく、かなりいい動きをしていました。