実績あるベテラン勢が揃った『ファンタジー・オン・アイス2026』で、中井亜美、中田璃士ら10代スケーターが躍動 (2ページ目)
新しいエキシビションナンバーを滑る中田璃士 photo by Snao Noto/ ©Fantasy on Ice 2026この記事に関連する写真を見る
そんな中井とともに、まだ17歳ながらも表現力を評価されている中田璃士(TOKIOインカラミ)も3年連続で出演した。
昨年は新エキシビションプログラムの『Victorious』を滑ったほかに、宮原知子や坂本花織、チャ・ジュンファン(韓国)とともに、アンサンブルスケーターも交えてグループ演技の『Cinema Italian』を披露。宮原や坂本などの女性陣に誘惑されるような役柄も演じ、「すごい人たちと滑れるんだなという喜びが強かったけど、自分ではあまりやらないようなプログラムなのですごく『恥ずかしい』が、自分のなかで勝っていて......。(チャ・)ジュンファンとも『あ、こんなことするんだ』と話していました」と照れているような雰囲気もあった。
だが、今年は第2部最初のプログラムでチャや佐藤駿、田中刑事と、"SUPER EIGHT"のメンバーでもある安田章大との『NOROSHI』でのコラボレーション。ステージ上で安田とハイタッチをしてからリンクに飛び降りて滑り出し、他のスケーターと一緒に3回転フリップを跳ぶなど力強くリンクを滑り回る演技を披露した。
そして個人プログラムは昨年と同じように、新たに作ってきたばかりのエキシビションナンバーの『Give Me Love』。宮原がフラメンコダンサーのSIROCOやフラメンコバンドとの競演で緊迫した空気感を会場に充満させ、友野一希がセルフコレオの『Surf Rider』で独特な世界観の演技をしたあとだった。
だが、中田はその雰囲気を崩さなかった。しっとりした滑りからスピードを上げてトリプルアクセルを跳ぶと、そこからは体の内にため込んだ感情を滲み出させるような濃密な滑りをし、その余韻を残すようなイーグルにつなげる。そしてステップシークエンスも音楽の迫力に頼らない、力強い滑りを見せる。
オープニングの登場ではいきなりトリプルアクセルを跳び、フィナーレのジャンプ合戦でも佐藤駿とともに4回転トーループを披露。勢いだけではない新プログラムの演技は、来季からのシニア挑戦への高い意欲を見せるものだった。
中井、中田、そしてもうひとり出演した10代スケーターが18歳の櫛田育良(木下アカデミー)だ。昨季から島田高志郎(木下グループ)とアイスダンスカップルを組む櫛田は、島田とともに第1部の『Faith』でロックンロールに乗った軽快で相手を挑発するような踊りを見せると、第2部では『Freya』で違う世界観を見せる。赤いスポットライトに照らされたなかでの、チェロの重いスローテンポな音に乗ったふたりの情熱的な滑りは、濃厚な空気感を生み出していた。
練習もボードリー&シゼロン組と同じグループに入り、積極的にコミュニケーションを取りながらアドバイスを受ける姿が印象的だった。
一方、中田も以前から「ジュンファンは、自分が一番滑りのきれいだと思っている選手なので、一緒に滑れるのがうれしい」と語っており、中井も今回は「宮原知子ちゃんがずっと好きだったので、その滑りを間近で見て学びたい」と話していた。
プロスケーターやベテラン選手たちがメインでもあるこのファンタジー・オン・アイスだからこそ、若手選手たちは大きな刺激も受ける。来年以降も彼らが、学びの場としてのこの舞台で成長する姿を見せてくれるだろうという期待も膨らんできた。
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
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